ビットコインなどの仮想通貨の基盤技術として注目されるようになったブロックチェーン。分散管理型のデータベースを使うため、管理人的な立場の存在がなくてもシステムを構築・運用できる点が最大の特徴であり、メリットである。


 よく言われるように、ブロックチェーンは仮想通貨のインフラ用に限った技術というわけではない。リアルタイムに情報を更新し続けるような用途には適さないものの、数々のトランザクションが発生し、その履歴情報を管理する必要がある領域なら適用できる場合が多い。


 その可能性に目を付け、さまざまな業態の企業へのブロックチェーン導入を支援することを目指し、立ち上がったスタートアップ企業がOnplanetzである。現在のブロックチェーン技術を取り巻く状況は、機械学習によってその実用性が注目され始めた頃のAIのそれと似ていると捉えている。彼らが注目しているのは、ブロックチェーンを活用することで成立する「トークン」が、新たな価値の流通を生み出す点である。


 ブロックチェーンが社会の中にどのように溶け込んでいくのか、それを促すことで何を変えようとしているのか。権 暁成社長と松本拓也CFOに考えを聞いた。


ブロックチェーンにどのような可能性を感じていますか。


:私たちの日常生活や商習慣、企業活動の中で発生しているさまざまな事象には、表面的なものだけでなく、様々な価値が潜んでいます。その価値を見出して、その情報の収集・提供の仕組みを作れれば、そこに新たなサービスを創造して、そこを起点とした新しい経済圏を形成できると考えています。


もう少し具体的にいうと、どのようなビジネスモデルが考えられますか。


:例えば、誰かと普通に会話をしている内容や、何かについてアドバイスをしている内容などが自動的に記録され情報化されれば、そこに価値が生まれるのではないかと考えています。


 普段のなにげない行為には、自分としては特別に価値を意識していないこと、自分以外にとってはあまり価値がないと思われることなど、さまざまなものがあるでしょう。ただ、ある一つの行為に注目してみると、自分を含めて社会のさまざまな人がどのように振る舞っているかという事実を蓄積していくと、それが重要な意味を持ってくるケースがあります。例えばTV番組の視聴率などはその一例です。


 こうなると、1回の振る舞いの有無を伝えることそのものに価値が生まれます。この振る舞いの有無や、振る舞いの内容を、ブロックチェーンを活用して売買できるようになれば、新しいビジネスモデルの切り口が生まれます。注目する振る舞いは、コンテンツの作成や利用、スピーチ、アドバイス、カルチャーの伝搬など、何でもいいのです。そういった行為に関する情報のやり取りが持つ意味が、ブロックチェーンによって徐々に具体化されて価値のあるものになっていくのではないかと思っています。


 既にブロックチェーンを活用した先行事例として、2018年4月にCoinbaseによる買収が発表されたEarn.comがあります(もともと21Incとして起業したスタートアップが社名変更した)。Earn.comは、ビットコインを使ったマイクロペイメントシステムとメッセージプラットフォームを融合させたサービスを提供しています。


 このサービスでは、登録ユーザーをコミュニティ化し、このコミュニティに対して質問を投げかけられるようにしたサービスです。登録ユーザーは質問メールに返信することで、ビットコインを報酬としてもらえる仕組みになっています。1回当たりの報酬はごく少額ですが、単純なメッセージのやり取りに価値を持たせられるわけです。こうすることで、マスに対して質問を投げかけたいというニーズと、単純な作業でわずかでも報酬を得たいというニーズをマッチングさせ、ビジネスを成立させられます。


 こういったビジネスモデルが確立されると、ある特定の技術や商品に特化した知識を持っている、いわゆる「おたく」と呼ばれている人たちが趣味の世界を飛び出し、自ら蓄積してきた情報で新たな利益を生み出せるようになります。


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実際の店舗などでもブロックチェーンによるマネタイズは考えられ

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