人工知能(AI)はビジネスをどう変えるのか。2018年4月、その問いに明快に答える書が出版された。“Prediction Machines: The Simple Economics of Artificial Intelligence”(Harvard Business Review社、以下、“Prediction Machines”)である。発売以来、経済やITの専門家、大手IT企業トップから「AIに関して、斬新かつ本質的な理解を促す必読書」などと絶賛された。その主張はシンプルで、AIを「予測マシン」とみなせばすべてがはっきり見えてくる、というものだ。


 著者は、アジェイ・アグラワル(Ajay Agrawal)氏、ジョシュア・ガンズ(Joshua Gans)氏、アヴィ・ゴールドファーブ(Avi Goldfarb)氏の3名。みなカナダ・トロント大学ロットマン経営大学院の教授であり、経営戦略やマーケティングの専門家だ。


 AIが持つ大きな可能性は周知のことだが、この本はAIについて新たな視点を提示する。AIの本質は、膨大なデータをもとに未来に起こることを高い精度で予測する、“予測マシン(Prediction Machines)”である、という見方である。


 予測することは、ビジネスを成功させる上で大きな価値を持つ要素であり、かつては十分なコストをかけて、綿密に行うべきことであった。しかしそれが、AIによって極めて安価に、素早く、正確に行えるようになった。かつ、これまで人間がやってきた方法とは全く異なるAI独特の方法で行われる。その結果、ビジネスの世界は確実に変わる。


 では、どう変わるのか。誰が利益を得て、誰が難しい立場に置かれるのか。私たちは何をすべきなのか――。


 AIを意識的に「人工知能(Artificial Intelligence)」ではなく「予測マシン(Prediction Machines)」として捉えることで、ビジネスにおいて今後AIが果たしていくであろう役割、そして私たちが意識すべきことがはっきりと見えてくる。それらについて実に平易に記したのが本書である。


 2019年2月、同書の日本語版『予測マシンの世紀――AIが駆動する新たな経済』(早川書房)が発行された(書籍の詳細はこちら)。3月には、著者の一人であるアジェイ・アグラワル(Ajay Agrawal)氏が、クラウド名刺管理のSansanが主催するビジネスカンファレンス「Sansan Innovation Project 2019」の基調講演に登壇する。


 アグラワル氏は、トロント大学ロットマン経営大学院にて、経営戦略論やアントレプレナーシップ論を教える教授であるとともに、クリエイティブディストラクションラボ(Creative Destruction Lab.=「創造的破壊研究所」)の設立者であり、ロボット用AIを開発する企業Kindredの共同設立者でもある。


 予測マシンの波がまさに日本に到来しようとしている今、本誌では、一足先にトロントにアグラワル氏を訪ね、出版後に起こった変化や日本の現状について、考えを聞いた。


「予測マシンの世紀――AIが駆動する新たな経済」の著者の一人、カナダのトロント大学ロットマン経営大学院教授であるアジェイ・アグラワル氏は、2019年3月15日、Sansanが主催するイベント「Sansan Innovation Project 2019」で講演します。AIがビジネスをどう変えていくのか、生で話を聞ける絶好の機会です。お見逃しなく。
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利用者広がる「ニーズを予測できるAI」

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