(前編からのつづき)


 インド発のスタートアップ企業、OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY。「クオリティリビングスペース」の提供を目指して、2019年4月に日本でもサービスを始めた。「OYO LIFE」と呼ぶこのサービスは、ホテル並みの手軽さで賃貸アパートを契約・利用できる、いわゆる不動産テックのサービスである。ユーザーは物件探し、予約、契約、決済など、一連の手続きを、スマートフォンアプリから短時間で済ませられる。


 日本国内では、既に1200件以上の物件を獲得し、現在、約700件が交渉中。そのうちの90%が契約予定だ。また、OYO LIFEに登録したいという申し込みが1万7000件もあるという。


 OYOが目指しているのは単なる不動産仲介サービスではない。また、不動産業界に新風を吹き込むものの、既存の不動産仲介や所有者に不利益をもたらすような、いわゆるディスラプティブ(破壊的)な立場ではない。


 では、どのような戦略でOYO LIFEのサービスを拡張していこうとしているのか。前編につづいて日本法人CEOの勝瀬 博則氏に、OYOのビジネスモデルと目指す新経済圏について聞く。(以下、敬称略)


賃貸物件をホテルのように借りられないかというアイデアは、どこから生まれたのでしょうか。


勝瀬 私は以前、Booking.comに在籍していました。泊まるエリアで検索して自分が希望する価格帯に合ったホテルを選び、必要な個人情報を入力すれば予約は完了です。当たり前ですが、部屋には水道も電気も通っていて、ベッドもカーテンもあります。そのまま、そこで生活できる状態ですね。


 ところが賃貸物件を選ぶ場合、非常に煩雑な手続きが必要です。しかも、契約して入居できても、室内には家具もカーテンも、水道、電気、ガス、インターネットも、すべて自分で手配しなければなりません。


 本来は、アパートを借りる場合、利用者は部屋そのものが欲しいというより、快適に過ごせる空間を手に入れたいわけで、この点はホテルを利用する場合とそれほど違いません。それなら「ホテルのように借りられる賃貸物件」へのニーズは高いのではないかと考えました。

「不動産のAmazon」、ビジネスモデルの特徴は?

OYO LIFEのビジネスモデルの特徴は、どこにあるのでしょうか。


勝瀬 目指しているのは「不動産のAmazon」です。Amazonで扱っている商品はAmazon自身が提供しているものではなく、大抵、楽天など他のネット通販や、リアルな店舗でも購入できます。


 では、Amazonに特徴的な商品やサービスは一体何か。代表例は「Amazon Echo」や、2019年3月に販売終了した「Amazon Dash Button」(以下、ダッシュボタン)、「Kindle」、「Fire TV」です。これらに共通しているのは、いずれも「発注システムである」ということです。つまりAmazon は、オリジナル商品ではなく、「簡単に注文できる仕組みを提供すること」で成長してきたわけです。


 OYO LIFEも考え方は同じです。扱っている物件は他の賃貸物件やマンスリーマンションと同じで、オリジナルの物件はありません。ただ、それを借りる人たちにとって「借りやすい」サービスにして提供している点が違います。


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