2019年8月19、20日、Yコンビネーターが投資家向けデモデイを開催した。今回は、その状況をレポートする。Yコンビネーターは2005年から約2000社のスタートアップに投資、育成している。Yコンビネーターのアクセラレーターのプログラムを卒業した企業には、Airbnb、クレジットカードのStripe、Dropboxなどがあり、卒業スタートアップの企業価値の総額は1兆円を超える。企業価値が100億円以上の卒業スタートアップは93社にのぼり、2万8000人の雇用を生み出している。全米ナンバーワンと言われる所以である。


 今回のデモデイは2019年の2回目(年に2回開催)で、サンフランシスコで開催。ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家など、約1000人が参加した。


2019年夏のYコンビネーターデモデイの会場(筆者撮影)

 今回のプログラムには、1万2000社を超える応募があり、無事Yコンビネーターのプログラムに参加できたのは、わずか197社。合格率にして1.6%と狭き門となっている。分野はB2B(85社)、コンシューマー系(59社)、ヘルスケア/バイオテク(27社)、AI(17社)、ディープテック(15社)、ハードウエア関連(15社)と幅広い。このうち米国外を市場とした企業が15%を占める。対象市場はインドが11社、そのほかラテン・アメリカ、インドネシア、フィリピン、中国、イラク、エジプト、中東と多岐にわたる(残念ながら日本は見当らかなった)。今回は特にラテン・アメリカが躍進している。米中貿易問題の影響もあるのかもしれない。


 今回のデモデイでは、地理的に離れた社員同士でのITを活用した協調型ワークスペースのソリューションを多く目にした。日本で言えば働き方改革という言葉がピッタリだ。それが、なぜシリコンバレーでと思うかもしれない。想像できる背景としては、シリコンバレーの投資家の間では、自動運転の分野は競争が激しくなっていることが挙げられる。課題解決として、人が移動しなくてもいい環境を作るスタートアップが注目されているのではないか、ということだ。


 例えばタンデム(tandem)は地理的に離れている従業員のためのバーチャルオフィス提供を目指している。Yahoo!の社員が独立して起業した。スラックやズーム、グーグル・ミート、スカイプなど既存のコラボレーション・ツールは、どれも実際に会って仕事をしている感じがせず、コミュニケーションとはどうあるべきか、既存のソリューションに捕らわれず、考え直した。だれが何をしているか見ることができ、ワンクリックで話しかけたり(相手が受けられる状態に設定している場合)、画面を共有できたりできる。既に、DropboxやWeWorkなどが利用しているという。


タンデムのバーチャル・オフィスの画面。チームが何をやっているかわかり、ワンクリックで簡単に会話できる。(同社Webサイトより)

 Gメリアス(Gmelius)は、約600万もの企業が使っているGmailをベースに、コラボレーションスペースを構築しようとしている。創業者がオックスフォード大学で博士課程在籍中に、リサーチャーの間でもっと簡単にコラボレーションできないかと考え、ソフトウエアの開発を始めた。Gmailのメールボックスを起点に、プロジェクトマネージメント、軽いCRM、メール受信箱の共有、多くの事業業態に対応できるワークフロー・オートメーションを利用できるようにする。


Gmeliusのコラボレーション画面(同社プレスキットより)

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