「米中摩擦のおかげで、今期は業績が大幅に落ち込みそうだ」
「たび重なる自然災害の影響で、資材費が高騰し、利益を圧迫している」
「顧客企業の業績が思わしくない。経費削減の影響を受け、うちも売り上げ減は免れない」


 こんな声が、あちこちから聞こえてくる。もちろん、ほかにも消費が活性化せず、売り上げが思わしくない、といったケースもある。大抵の企業は、このような外因が業績を大きく左右する。


 そんな中にあって、比較的、市場や景気の影響を受けにくい業種もある。一例が生命保険会社。「他の業種ほど、見込んでいた業績から大きくはずれてしまうことはない、少し変わった業種だ」。複数の生命保険会社を経験し、現在はアクサ生命保険で取締役 専務執行役チーフマーケティングオフィサー(CMO)を務める松田貴夫氏は、こう話す。


 実際、生命保険業界は、明治時代からほとんど変わらないビジネスモデルで、安定的な収益を上げ続けてきた。新商品の開発がないわけではないが、病気にかかったときや事故に遭ったとき、あるいは死亡したときの経済的な保障を提供する「ペイヤー」としての事業モデルが根幹にあることは変わらない。


 ただ、最近になって生命保険会社が、保険のあり方そのものに目を向け、顧客との違う向き合い方を模索し始めている。そこにあるのは、気づかないうちに時代や環境の変化に取り残されていってしまいかねないという危機感。顧客のライフスタイルやワークスタイル、考え方が変わっていくなかで、生命保険だけが変わらずに受け入れられ続けるはずがない。そういう想いだ。


 そこで取り組み始めているのがデジタル変革。今日明日の業績ではなく、将来のサービス提供に向けた布石としての変革である。


 「ペイヤーから、パートナーへ」。こうしたビジョンを掲げるアクサ生命は、デジタル技術の力を駆使することで、新しい生命保険会社、もっと言えば、新しいタイプのサービス企業に転身しようと考えている。そのためにアクサはグループレベルで米国シリコンバレーや上海にラボを開設したり、テクノロジーの先端企業やスタートアップとパートナー契約を結んだりと、デジタル技術活用のための研究や仕組みづくりに余念がない。


 デジタル変革といっても、狙いは製造業などが取り組むような、作業工程の見える化や、ムダの排除といったこととは違う。では、アクサ生命が求めるデジタル革命とはどんなものか。その先に、顧客にとってどんな存在になる絵を描いているのか。松田CMOに聞いた。(以下、松田氏談)


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時代の変化に合わせて保険商品も進化すべき

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