前編からのつづき>

 ペイヤーからパートナーへ――。


 生命保険会社の事業モデルを大きく変えるビジョンを掲げるアクサ生命。その実現のために欠かせないのがデジタル技術の活用である。これを牽引する、取締役 専務執行役チーフマーケティングオフィサー(CMO)の松田貴夫氏が目指しているのは「加入者の健康増進・維持に貢献するサービス企業」である。


 同社のサービスによって病気にかかる人が減れば、生命保険の保険金を支払う対象も減ることになる。これをもって、「保険金を支払わなければ、保険会社は儲かるのではないか」、という捉え方もできる。


 それに対する松田氏の考えはこうだ。


 「病気にかかる人や死亡する人の数が減れば、確かに保険金を支払わない分の収益は増えるでしょう。ただ、健康増進、ケアコーディネーションのための仕組みづくり、サービスづくりなど、今までの保険と違う領域には、当然、投資が必要になります。お客様が健康になることによって減少するであろう保険金の分の収益を、さらに高度なサービス実現に向けた再投資に回す。そういうモデルを組めれば、社会的責任を果たしつつ、自分たちのミッションを達成できるはずです」


 では、アクサ生命はどのような事業にチャンレジしているのか。前回に続き、デジタル化に伴う同社の取り組みを見ていこう。(以下、松田氏談)

生活習慣病は予防の、がんは早期発見の推進役に

 リスクの専門家としてのサービスのイメージを、もう少し具体的に挙げると、大きく2つ考えられます。一つはアクサでウェルビーイング&プリベンションと呼んでいる、いわゆる病気の予防アプローチです。そしてもう一つが、ケアコーディネーションと呼んでいるハイリスク領域への対応。病気にかかってしまうなど既にリスクが顕在化してしまった人の、病気の進行を抑えたり、早く健康な元の状態に戻したりするのをサポートするアプローチです。


 予防に関しては、他の保険会社も手がけ始めていますし、健康管理・増進のツールは数多く提供されていますから、わかりやすいでしょう。お客様の生活に入り込んで、いろいろなデータを取ったり、そのデータに基づいて対策を提案したりします。


 健康増進や病気の予防には、食事、運動、睡眠など様々な要素がありますが、そのうち食事や栄養の管理については、アクサではウィットが運営する「あすけん」を提供しています。今年5月に業務提携したネスレとも連携を深めていきます。


 血圧や血糖値、心拍数、体温といった、いわゆるバイタルデータや、「体がだるい」などの不定愁訴を記録して、日々の健康状態を管理することも考えられますが、そこはこれからです。その前に解決しなければいけないのが、健康管理に無関心だったり、根拠のない自信を持っていたりする人たちのマインド改革です。実は、かなりの人々がこのタイプです。そういう人たちを対象に、いくら「アクサ生命は健康維持のパートナーです」と訴えたところで、理解してもらえません。


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