自動車から家電まで、さまざまな製品に組み込まれようとしている人工知能(AI)。こういったAIの多くは、安全に車を運転してくれたり、おいしいご飯を作ってくれたり、人間がこれまで蓄積してきた知恵やノウハウなどを工業製品に組み込む目的で開発されてきた。ビッグデータを解析して企業の生産性向上や医療画像の解析に役立てたり、ロボットに組み込んで機械に人間のような反応をさせたりするAIの研究も進んでいる。


 オルツが取り組んでいる「パーソナル人工知能(Personal Artificial Intelligence:PAI)」は、これらのAIとはちょっと違う。人間の過去の行動や思考傾向などの情報を収集し、それを基にデジタルクローン、すなわち、デジタルのコピーロボットを作ろうとしているのである。


 オルツの取締役 CFO(最高財務責任者)でありエバンジェストである中野誠二氏に、PAIで目指す未来の社会の姿について聞いた。

人間の代わりに仕事をしてくれるPAI

デジタルクローンというPAIは、どういったものなのでしょうか。


 簡単に言えば、人間の思考や人格などのコピーをデジタルデータで作り上げたものです。昔アニメで見ていた、『パーマン』に出てくる「コピーロボット」のようなものをデジタル空間に作るイメージです。


 アメリカのテレビ番組にも、体にチップを埋め込んでおき、自分が考えていることをすべて記録しておくという未来の世界を描いたドラマがあります。そのドラマでは、100年間保管されていたチップを別の人間の体に埋め込み、100年前の人間を再生するというストーリーが繰り広げられます。


 このように体にチップを埋め込むようなことまではしませんが、思考や行動などの情報を収集してコピーしたPAIを作ることまでは、わりと早い時期に実現できると思っています。


PAIは私たちの生活の中で、どのように活用されるのですか。


 もし、コピーロボットのように自分にそっくりなロボットがいたら、自分の身代わりをさせることができるでしょう。家で寝ていたり、旅行に行ったりしている間に、自分の代わりに会社に行かせて仕事をさせるのです。PAIにも同じように、自分の代わりに仕事をさせたりします。


 そもそも、私たちは毎日オフィスでどのように仕事をしているのか考えてみました。出勤後、デスクの前に座るとまずパソコンを立ち上げ、メールやメッセージ、slackなどのコラボレーションツールのチャットを確認することから1日が始まるという人が多いのではないでしょうか。こういった単純なルーチンワークは、これまでの人類の歴史を振り返ると、大抵機械に置き換えられています。


 私たちが日常的に行っているメールのチェックなどのルーチンも、いずれPAIが担当する時代が来るのではないかと考えています。


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