ITの力で社会を良くすることを掲げこれまで5年間活動を続けてきた「コード・フォー・ジャパン(Code for Japan)」。その代表理事を務める関治之氏へのインタビューの第2弾である。地方自治体の支援など公共分野での活動が多いCode for Japanにおけるデータの重要性、1メンバーとしてのCode for Japanの魅力、今後の将来展望などを聞いた。


Code for Japanの活動は公共分野との接点が多い活動です。オープンデータとの関わりについてはどのように考えていますか。


 もちろんオープンデータは大事ですが、あくまで一つの手段に過ぎません。むしろ「何のためにそのデータを使うのか」がポイントです。事実、オープンデータを準備することが難しい自治体もたくさんあります。慣例的に紙で仕事をしているのに一足飛びにオープンデータを提供しようとなれば、デジタルデータに書き換えて公開する仕事が発生することになります。しかし我々は、そんな作業を行政にさせたいわけではありません。


 だからこそ、価値の高いデータ活用方法を一緒に考えるところから始める必要があります。最初にきちんと、“こういった目的で使えばお互いがハッピーになる”ことを説明するのです。GTFS(標準的なバス情報フォーマット)はまさにその典型です。データを提供することによって、地元の人たちが分かりやすく時刻表を検索できるようになったり、インバウンドに対応できるようになったりします。行政にも役立つし、利便性が高まれば地域の人たちももっと使うようになるはずです。だからデータを提供してくださいというフローです。


 そうした場を作ることにも尽力しています。Code for Japanは総務省の委託事業として、自治体職員向けのデータ活用研修「データアカデミー」を請け負っています。行政職員が参加して、データに基づいた業務改善、業務評価、政策設計などを一緒に考えるハンズオンのワークショップなのですが、ここでは実践を通してデータの重要性を学ぶ機会としています。


 例えばある市で、待機児童が多い問題を抱えているとします。そこでGIS(地理情報システム)でエリアごとにマッピングしてみると、実はあるエリアにだけ待機児童が集中していて、いま新しい施設を建設しても数年で需要がなくなることが推計から読み解けるようになります。このように明確な課題に対する有益なデータ活用法を一緒に学習することで、次回からは自分たちで勘所を探り当て、データのありがたさがわかるようになります。そこで初めて「ここでデータが必要だからデータ化しなくてはいけない」と思うようになるのです。


改めて、Code for Japanの活動から得られたものはなんですか。


 いろいろな仲間ができたことが大きいですね。それも、この活動ならではの仲間という感じがするんです。地域のために何かをしたい、そんな愛にあふれる人たちの集まりですから。そのネットワークが、日本だけではなくグローバルにもある――これは自分の人生を豊かにしてくれていると思います。こうしたかけがえのないネットワークは普通に仕事をしていたら作れないものです。それだけでも参加する価値はあります。


ここから先は、DIGITALIST会員(登録無料)のみが閲覧することができます。