市場調査会社のICT総研によると、スマートフォンでのQRコード決済など、コード決済を1カ月に1度以上利用するアクティブユーザーは、2021年度末に1880万人に達するという。QRコード決済サービスへの新規参入が相次いでいるほか、政府が2018年7月に産官学からなる「キャッシュレス推進協議会」を発足させ、キャッシュレス決済の普及に本腰を入れて取り組み始めたことが、利用者数と市場の拡大を後押している。


 利用者はここ数年、倍増ならぬ「3倍増」で拡大を続け、2016年度末にはわずか62万人だったのが、2017年度末で187万人に、そして、2018年度末には512万人に達するという。


 利用者数の増加に伴って、QRコード決済の市場規模も急拡大している。日本能率協会総合研究所の調べでは、2019年度の市場規模は約6000億円と推計され、さらに2023年度には8兆円にまで広がるという。


 QRコード決済に限らず、急成長する市場には複数のプレーヤーが参入し、シェア争いが激しくなる。ましてや新しいビジネスでは、ほんの一握りの勝者が利益もブランドも全てを手にする「勝者総取り」の構図を描きやすい。国内でも、楽天ペイ、PayPay、LINE Payによる、QRコード市場の覇権争いが激しさを増している。


 では現在、どこが市場で優位に立っているのか。ICT総研の調査によると、利用者ベースで最も使われているのは楽天ペイ。次いで、PayPay、LINE Payと続く。


 現時点で楽天ペイが優位に立っている理由は、「ポイントの2重加算」だろう。決済時、支払いにひも付けられているクレジットカードのポイントに加え、楽天市場や楽天オークションなど楽天グループのサービスで利用できる楽天スーパーポイントも貯まる。そこで貯めた楽天スーパーポイントを楽天ペイでの支払いに使うこともできる。こうした利用者のメリットから、現時点では楽天ペイが一歩リードしている状況だ。

多アプリなどとの連携で顧客基盤を充実

 楽天ペイのポイント2重加算のように、各社が提供するQRコード決済サービスは、決済手数料や決済できる金額の上限などで細かな差異がある。そして、各社とも利用者獲得のために、サービスの違いをアピールしている。ただ、各社とも、こうしたサービスの細かな違いだけを武器に利用者数を増やそうとしているわけではない。各社とも、「QRコード決済サービスの潜在的な利用者」を顧客に持つ、様々なサービスの提供企業とパートナーシップを結ぶという戦略を打ち出している。


 例えば楽天ペイは、親会社の楽天が2018年11月、KDDIおよび沖縄セルラーとの提携を発表した。これにより、KDDIは2019年4月に、楽天ペイのプラットフォームと、全国約120万の加盟店網をベースにQRコード決済サービス「au Pay」をスタートする。この提携によって楽天ペイは、今後増加が期待されるau Payの利用者を取り込めるようになる。楽天、楽天ペイはKDDIと提携したことで、ソフトバンクとヤフーの合弁会社であるPayPayが、ソフトバンクの携帯電話利用者やワイモバイルユーザーに対して展開する利用者獲得キャンペーンにもしっかりと対抗できるようになった。


 楽天と楽天ペイは、携帯電話キャリアだけでなく、他のサービスとの連携も進めている。楽天は2018年7月、ぐるなびと業務提携を締結した。目指すのは、「ぐるなび加盟店での飲食店での支払いを楽天ペイで」という構図だ。その実現のために、ぐるなびで飲食店を予約した際に付与されるぐるなびポイントと、楽天カードや楽天ペイを使うと貯まる楽天スーパーポイントとを段階的に統合していく。要するに、ぐるなびでお店を予約すると、楽天ペイで使えるポイントが貯まる仕組みを構築し、ぐるなびの利用者を楽天ペイに取り込もうという狙いだ。


 一方、PayPayは、ヤフーが提供するYahoo!ショッピングとヤフオク!で2019年2月から、PayPayを決済手段のひとつとして利用できるようにした。まずは、同じグループで「QRコード決済の潜在的な利用者」を多く抱えているYahoo!ショッピング、ヤフオク!の利用者を囲い込もうという考えだ。同様にグループ会社のアスクルが運営する個人向け通販サイト「LOHACO」でも2019年4月からPayPayを利用できるようにする。さらに、Yahoo!ショッピング、ヤフオク!、LOHACO、Yahoo!JAPANカードのキャンペーンなどで付与しているTポイントを、PayPayでの決済で使えるようにもする。

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