2019年は米でデニス・ホッパー監督の映画「イージーライダー」が公開されて50周年である。いまはやりの、米国とは文化の異なる“ネーション”の寄せ集めだとする歴史研究の考えに則って解説すると、この映画は“レフトコースト”出身の若者が、“深南部”というまったく異なる“国”へ出かけて、そこでの“衝突”によって命を落とす物語だ。


 あるいは当時、私たちはそれを若者と年寄りの衝突に起因する悲劇と読み取った。若者を象徴していたのが、ピーター・フォンダとデニス・ホッパーの乗るハーレー・ダビッドソンである。


 いまではハーレー・ダビッドソンを好む年齢層が上がってきて、同じ図式があてはまらなくなった感がある。しかしハーレー・ダビッドソンはデジタル技術を使って、着実に未来へと進んでいる。その最新例が「ライブワイヤLiveWire」と名づけられた電動モーターサイクルである。


エンジンがあるべきところにバッテリーと駆動系が収まるライブワイヤは上手にまとめられたスタイリング

 ハーレー・ダビッドソンといえば、モデルバリエーションは豊富だが、共通するのは直列2気筒エンジンだ。独特のエンジンビートもこの45度のバンク角をもつ大排気量から生まれている。今回はそれをなくしてしまうというのだから、大きな転換になり得る。


 ライブワイヤは電気モーター特有の大トルクを持ち、加速性能では静止から時速60マイル(約100キロ)までを3.5秒で加速すると発表されている。比較的重量級の車体を持つハーレー・ダビッドソンだが、実は加速性は高性能スポーツカー並み。なかでもライブワイヤは速い。


 燃料タンク(のようなもの)を備えており、そこに給油口(のようなもの)が設けられている。上面のフラップを開けると充電器をつなぐソケットが設けられている。従来Vツインエンジンがあった場所にバッテリーが搭載され、その下に電気モーター。そして後輪をベルトで駆動するのだ。


充電用ソケットは本来燃料の給油口があるべき位置に

 コネクティビティも備わる。車両とサービスセンターをスマートフォンのテレマティックサービスを使ってつなぐ「HDコネクト」装備である。充電スポット検索をはじめ、車両が盗難の危険性に遭ったときには通報、あるいは盗難車両を追跡できる。


 ライブワイヤは2019年中にまず米国で販売される。ハーレー・ダビッドソンは、それだけにとどまらず、2022年には電気バイクのバリエーションを拡大していくと発表している。


 現在お披露目されているのはコンセプトモデルだが、興味深いものばかりだ。「より軽快に、より小型に、よりアクセスが容易に」といったキーワードに基づいて開発されたようだ。


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