※ 上の写真はフォルクスワーゲンのCEOを務めるドクター・ヘルベルト・ディース氏

「日産リーフのグローバル販売台数が5万4451台(2017年度)です。自動車大国にしては少ないですよね」


 独フォルクスワーゲン(VW)でストラテジーを担当するミヒャエル・ヨースト氏は、すこし驚いたような表情を作ってみせ、上記のようにコメントした。


VWでストラテジーを担当するミヒャエル・ヨースト氏(写真=筆者)
ジュネーブ国際自動車ショーで「ID.バギー」を紹介するVWの技術開発担当役員のドクター・フランク・ウィルシュ(写真=Volkswagen AG)

 2019年3月5日、これからの時代に向けての戦略を語ってもらうインタビューを、VWの首脳陣に行った。ヨースト氏に加えて、CEOのドクター・ヘルベルト・ディースと、技術開発担当役員のドクター・フランク・ウィルシュに話を聞いた。


 なぜVWなのか。同社は、自動車メーカーでなく、モビリティ・プロバイダーと、自社のことを定義して驚かせてくれた。クルマでなくてモビリティ。またメーカーではなくプロバイダー。どちらも斬新な概念だ。


 「VWは将来に向けて3本の柱を立てています」とするのは、ヨースト氏だ。3本とは、デジタライゼーション、エレクトリフィケーション、そしてキャピタライゼーションからなる。


 1つめのデジタライゼーションは、コネクティビティ(通信)の技術を積極的に採用すること。エレクトリフィケーションは電気自動車(EV)の増産。キャピタライゼーションは(ある分野に集中的に)資本を投下すること、となる。


 3つは密接に関係している。大きな背景は時代の変化だ。欧州連合(EU)は、自動車の排ガス中の走行キロ当たりCO2排出量の削減を強く求めている。対策は(特に都市内の)EVを増やすことである。


 都市内のEVの利便性を高めるためには、駐車や充電などインフラの情報にリアルタイムでアクセスできるようにすることが肝要である。そのためにコネクティビティ技術を拡充する。これが第2点である。


 第3点は、コネクティビティを前提としたアプリケーションの開発だ。新しい時代のクルマのあり方と関係している。特に都市内では、個人所有からシェアリングへというのが欧州のトレンドといわれる。


 終身雇用が減り、年間契約という不安定な雇用条件下、クルマを所有することを困難と考える層が欧州では増加している。加えてEUの排ガス規制が厳しさを増しており、2009年に「ユーロ5」という規制が実施された後は、14年には「ユーロ6」へと引き上げられた。


 その結果、一部の都市ではユーロ6に適合したクルマでないと市街地への乗り入れが認められず、通勤が困難になった層が出てきている。今は早くも「ユーロ7」の噂が出ており、ディーゼルエンジンを中心とした内燃機関を持つクルマの買い控えが起きている。


 VWは、その人たちがこれからのターゲットだとする。個人所有を諦めた人を含めて、スマートデバイス経由でより使いやすいサービスを提供することが、企業の生き残りにとって重要だというのである。


 「この先何年も、何百万もの人々にパーソナル・モビリティを提供したいと考えています。それは、より安全で、よりクリーンで、そして完全なコネクテッド機能を備えたものとなるでしょう」とはドクター・ディースの言葉である。


 サードパーティと連繋してアプリケーション開発を進めることもVWの方針だ。例えばマイクロソフトとの協業については過日、このサイトで既報のとおりである(2019年3月5日付「モビリティプロバイダーへの転身図るフォルクスワーゲン」)。


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