※ アウディのスタジオではVRを採用している(写真=Audi AG)


 VR(バーチャルリアリティ)は自動車の世界にもどんどん進出している。例えば近未来のショールーム。訪れた客は販売員の説明を受ける代わりに、VR用のヘッドセットをつけてクルマの周囲を回る。


 私は実際のショールームでではなく、「将来はこういう風になりそうだよ」という注釈つきでダイムラーに体験させてもらっただけである。疑似体験の疑似体験だ。それでもヘッドセットをつけて車両の周囲を回るのが楽しかった。


 ドアが勝手に開いて(映像)インテリアが見え、それに合わせた解説が聞こえるのだ。レーザーやカメラがどう働いて歩行者や先行車を把握するかがよくわかるし、パワートレインからトランクの容量まで、映画を観ているように詳細を理解できる。


 VRはクルマづくりの現場でも多用されるようになっている。一例がデザインだ。車両をデザインするプロセスでVRが使われている。25年ぐらい前まではフルスケール(1分の1)の線画(レンダリングという)で新車のデザインのプレゼンテーションが行われていた。レンダリングのあと、石膏やプラスチック粘土、あるいは木で模型を作る。モデリングという作業なのだが、5分の1スケール、4分の1スケール、さらにフルスケールと何段階かがあるのだ。

最初のスケッチは硬めの鉛筆かボールペンを使うことが多い(写真=Audi AG)

 イタリアではエポウッドというエポキシ樹脂をしみこませた木材を削る方向が採用されていたが、ほかの国ではプラスチック粘土を骨組みに盛っていく手法が多い。モデラーと呼ばれる専門の職人がいて、デザイナーと打ち合わせをしながら、粘土を盛ったり削ったりして形を整えていく。

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