逆に目標設定が「(2)受動的目標」で、マネジメントが「(1)内発的動機付け」の場合はどうでしょうか。これは言ってみれば、「上から与えられた目標であっても、その中で仕事の楽しみや意義を見いだしていこう」とする状況を表しています。

 この組み合わせの方が、「(1)主体的目標」×「(2)外発的動機付け」のパターンよりも、まだ何とかなりそうです。けれども、「上から目標を与えて、そこに意味を見いださせる」マネジメントは容易でないため、成果を出すためには従来のような外発的動機付けの方が手っ取り早いと考える上司が出てきても不思議ではありません。

 現在、1on1の導入を進めている企業の中で、この「(2)受動的目標」×「(1)内発的動機付け」のパターンにチャレンジしている会社も少なくありません。その努力が無駄であるとは言いませんが、研修などに投入するコストの割に効果を出しにくいため、けっして効率がよいとはいえません。

 目標設定のタイプとマネジメントのタイプを同時に変更するのは変革プロジェクトの難易度が高いので、まず1on1の導入から始めるというアプローチも十分にあり得るでしょう。ただ、その場合には、次の段階として目標設定の見直しに取り組むことを視野に入れたシナリオを描き、経営層の理解を得ておくことが重要です。

松丘 啓司(まつおか・けいじ) 株式会社アジャイルHR 代表取締役
松丘 啓司

 1986年東京大学法学部卒業後、アクセンチュア入社。同社のヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナーを経て、2005年に企業の人材・組織モデル革新を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立。同社ではパフォーマンスマネジメント、ダイバーシティ&インクルージョンなどの領域を中心にサービスを提供。2018年にパフォーマンスマネジメントに特化した株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任。主な著書として、『1on1マネジメント』『人事評価はもういらない』『論理思考は万能ではない』『アイデアが湧きだすコミュニケーション』『ストーリーで学ぶ 営業の極意』『提案営業の進め方』『組織営業力』などがある。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。