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 「20年近くトレーニングの仕事をやってきて日本企業の人事部の罪がいかに大きいかを痛感する」

 少し前、マネジメントスキルを高めるトレーニングを提供する知人から送られてきたメールにあった一文である。筆者が昨年書いた拙文『強い「日本の人事部」が会社を歪める』(記事はこちら)をたまたま読み、「もっと人事部に厳しく書いてはどうか」と彼は提案してきた。

人事部の目的は管理なのか

 大罪とはかなり厳しい物言いである。彼の言い分はこうだ。

 「管理部門という言い方があるが人事部はその最たるところ。すべてとは言わないが大半の人事部が“管理病”にかかっており、管理それ自体が目的になっている。だから管理できなくなることを極端に恐れる。それでも人事部員は真面目に仕事をしていると思っている。自覚症状がないから性質(たち)が悪い」

 彼が提供しているトレーニングの意義を人事部に理解させるのは一苦労だという。「管理とマネジメントは違う。管理者ではなくマネジメントができる人が必要」と彼が力説すればするほど人事部はあまりよい顔をしない。

 彼によるとマネジメントは「正しいことをする」こと。一方の管理は「ことを正しくする」ことで、英語ではコントロールになる。「正しいことは何かと自ら考え、それを目指して行動する人を育てよう」と説明するのだが、人事部は「管理できない社員を作ることにならないか」と恐れてしまう。

 管理は不要ということではない。決められたことを正しくできない社員がいたら、上司がコントロールする必要がある。ただし状況によっては決められた通り、言われた通りにするのではなく、「これが正しい」と考え、周囲の協力を取り付け、正しいことをやり遂げる、つまりマネジメントできる人が求められる。

 「状況によっては」と書いた。組織の中だけではない。組織の外の状況を見極めていかなくてはならない。顧客からの要請に応じて、あるいは社会からの要請を察知して、「正しいことをする」必要があり、組織の中で「ことを正しくする」だけでは不十分である。

 「管理の仕事ばかり長年やっていると社内ばかり見てしまい、社会のレベルで物事を見られなくなる」と彼は指摘する。「人事部が旧態依然では、働き方改革といっても時短を強いるばかりになり無意味な取り組みとして終わる」