(写真:123RF)

 「最近、人事部を人材部などの新しい名称に変えることが流行っている。(中略)人事部の機能は今後何年かの間に大幅に変わる。まず、これまでとはまったく異なる新しい仕事に取り組まなければならなくなる。(中略)当然、これまでとは異なる人事部員を必要とする」

 これはピーター・ドラッカーの著書『マネジメント・フロンティア』(上田惇生・佐々木実智男訳、ダイヤモンド社)に収められた『人事部の陳腐化と脱皮の必要性』という一文の書き出しである。

 「最近」とあるがこの文章が発表されたのは1985年であり、「今後何年かの間」はとうに過ぎた。ドラッカーの指摘が正しかったとすると日本企業の人事部は今日、当時とは異なる「まったく新しい仕事」をしているはずである。

人が成果を挙げられる組織にする

 35年前、ドラッカーは次のように指摘した。人事部の新たな任務は専門的な仕事をしている多様な人を組織の資源とみて、成果が最も上がるようにすることである。ドラッカーは執筆時の人事部を「従業員の九割が差のない仕事を行う未熟練の労働者であった時代、すなわち第一次世界大戦の頃そのままである」と評した。

 原文に当たったわけではないが「人事部を人材部などの新しい名称に変える」という記述の人事部はPersonal DepartmentあるいはLabor Department、人材部はHuman Resource Departmentであろう。労働者の賃金(コスト)を管理する任務から、人的資源の価値を高める任務に変わるということだ。

 任務が変わると機能も変わる。人事部(ないし人材部)は人と仕事を変えていく機能を持つことになる。「決まった場所に人材を供給することよりも、ポストそのもの、ポスト間の関係の設計に取り組まざるをえなくなる」。ポストには仕事がある。人事部は「仕事の内容を大きく豊かにする」ように「仕事の流れや関係」と「仕事やチームの組立」について助言し「適材適所の人員配置」を担っていく。

 上記の機能を提供していくと「スタッフとしてよりは、ラインとして仕事をしなければならなくなる」とドラッカーは述べた。仕事の流れを変えたり、人材配置を判断したりするのは本来ライン、つまり事業部門の仕事である。そこまで入り込もうとすると人事部に現場の実務経験を持つ人を置く必要が出てくる。