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 「新任課長を合宿所に集めてやっていた課長研修をオンラインでどう代替するのか」「研修以外の人材育成、いわゆるOJTをテレワークの中でどう実践したらよいか」。前回の本欄で問題提起をした。

前回記事:緊急対処から常態になるテレワークを再考、問題は人材育成(前編)

 冒頭の問いは企業における人材育成を、仕事からいったん外して受けさせる集合研修と仕事の中で学ばせるOJTに大別している。これらをコンピューターとインターネットを使った、いわゆるオンラインで実践できるのかどうか。

 答えは単純ではなく教育を受ける人、教える内容によって変わってくる。教育を受ける人については新入社員、転職者、中堅、定年間際、管理職か否かといった区別がある。教える内容としては仕事で必要な専門知識や技能、社会人・企業人として知っておくべきこと、人と対話し人を引っ張っていく力、などがある。さらに新入社員には組織で仕事をする心構えを身につけてもらう。企業の社風、考え方、特徴も分かってもらわねばならない。後者については転職者も対象になる。

 教育を受ける人と教える内容の関係を表にすると複雑になり、それぞれについてオンラインでやれるかどうかを考えていくと話が長くなる。教える内容には「見えるもの」と「見えないもの」があり、以下では「見えないもの」をオンラインで伝えられるかどうかを考えたい。

 「仕事で必要な専門知識や技能」は「見えるもの」と言える。業務手順書や解説書に明記されており、そのコンテンツをオンラインに移し替えることはそう難しくない。店舗や工場では手順書や解説書のeラーニング化に取り組んできたところも多く、最近では遠隔地からものを見るだけでなく、VR(仮想現実)を使って、触ったり、動かしたり、音を聞いたりすることもできるようになった。においを感じる技術も開発されつつある。将来、自宅から運営できる店舗や工場が実現し、運営方法をオンラインで教えるようになるかもしれない。

職場だけが学びの場ではない

 これに対して「見えないもの」とは前述の中で言うと「人と対話し、人を引っ張っていく力」「組織で仕事をする心構え」「社風、考え方」である。見えないものをどう伝えていくか、企業はもともと苦労してきた。OJTは見えないものと見えるものを一緒に教えるやり方である。実際には見えないものと見えるものは渾然一体になっており、だからこそOJTに頼ってきたわけだが、現場に人を張りつけにくくなっている今、オンラインでどこまで見えないものを教えられるか、やってみる必要がある。

 「組織で仕事をする心構え」「社風、考え方」については上長と社員、社員同士のやり取りをオンライン上で増やすことでなんとか対処する。心構えや社風を文書にして説明しただけでは腹に落ちないから日々のやり取りを通じて伝える、というより感じてもらう。例えば古い手法だが日報や週報を復活させ、上長がこまめに応答する中で心構えや企業なりの考え方を示していく。テレワークが主流になっている企業では、上司と部下が1対1で話す「1on1(ワン・オン・ワン)ミーティング」をオンラインで頻繁に開く例も増えていると聞く。