英語圏、とりわけ欧米ではどうなっているのだろう。WebsterでCareerを引いてみると次の二つが最初に出てきた。

●a profession for which one trains and which is undertaken as a permanent calling

●a field for or pursuit of consecutive progressive achievement especially in public, professional, or business life

 どうも「見えるキャリア」の定義に読めてしまう。キャリアの原義は「競争路」であり、そこから「疾走」「生涯の経歴」という意味を持つようになった。キャリアを出世街道まっしぐらと訳してもおかしくはない。

 もっとも上記に出てくるprofessionやcallingはいずれも宗教の言葉でもある。出世のために全力疾走してもそれは神のお導きであり、神が見ているから自分を律していけるし、自問自答を繰り返すことになる。

 欧米のような宗教は日本にない、だからキャリア形成と言われても真剣に受け止められない。どうもこれが結論になりそうだが困ってしまう。『「キャリア形成」が日本人になじまない理由』を認識しつつ、それでも見えないキャリアを自問自答する努力を一人ひとりがするしかないのだろうか。

 やはり信仰を持たずに自分一人だけに閉じて突き詰める行為をするのは、なんだかつらい気がする。日本には日本のやり方があるだろう。共に生きていく、あるいは働いていく誰かと、見えないキャリアについて共有していくやり方はないのだろうか。結局、レベルセッティングの話に戻ってしまった。

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「人と仕事の未来 2019-2028」

谷島 宣之(やじま・のぶゆき) 日経BP 日経BP総研 上席研究員
谷島 宣之

 1985年電気通信大学情報数理工学科修士課程修了、日経マグロウヒル社(現・日経BP)入社、日経コンピュータ編集部に配属。日経ウォッチャーIBM版記者、日経ビズテック編集委員を経て、2007年から日経ビジネスオンライン、日経コンピュータ、ITproの編集委員。2009年1月から日経コンピュータ編集長。2011年6月から日経BPビジョナリー経営研究所研究員。2015年から現職。一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。著書に『ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国』(日経BP、2013)、『社長が知りたいIT 50の本当』(日経BP、2016)がある。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。