(写真:123RF)

 ヒト・モノ・カネが経営資源だと指摘されて久しい。これらに続く第4の資源として情報あるいはデータを挙げることもあるがヒト・モノ・カネはデータとしても管理するので以下ではヒト・モノ・カネの3点を経営資源として話を進める。

 経営にあたっては経営資源をうまく集め、使い、余ったり足りなくなったりしないようにする。3点のうちヒトについて、うまく採用し、力を発揮させ、過不足ない状態にできているだろうか。

モノとカネと同様の管理がヒトにも必要

 ヒトに関して企業現場の意向と本社管理部門の意向とは正反対である。業種業態によって違いは多少あるだろうが多くの現場は「足りない」と言い、本社は「売上高人件費比率が高い」と言う。

 人件費比率を抑えたい本社の指示で店舗の人員を一律に減らしてしまい、忙しい時間帯に店員が足りず、来店客を待たせている店があったりする。これでは客が離れてしまうし、現場は疲れ、働く意欲も落ちる。

 もっとも現場と本社の見方が合わないのはモノについても同じである。生産現場は資材が足りなくてすぐ作れないと言い、販売現場は商品が足りず売る機会を逃したと言うが、本社の管理部門は「売上高在庫比率を抑えよ」と言う。

 モノの場合、現場と本社の言い分を調整するために売上高在庫比率のような総枠の管理(ダラーコントロール)に加え、個々のモノの管理(ユニットコントロール)をする。資材や商品ごとに適切な数量を調達ないし生産し過不足が出ることを防ぐ。モノの管理は詳細化が進んでおり、ある商品をブランドやサイズ、色によって分け、単品として管理する。

 カネについても同様で総枠の管理に加え、個々のカネを管理するようになった。CMS(キャッシュマネジメントシステム)の採用である。モノと違いカネに色は本来ないが、現場や本社にあるカネを通貨の種類、居場所や移動先、期限などによって分けて管理し、企業あるいは企業グループ全体でカネを最も効率よく扱おうとしている。

 ヒトはモノやカネと並ぶ、いや、それ以上に貴重な経営資源である。現場と本社の要請を満たすには、モノやカネと同様の管理が欠かせない。売上高人件費比率のような総枠の管理に加え、個々のヒトの管理が必要になる。

 経営資源としてのヒトをどう分けるか。店舗、倉庫、工場などの現場には正社員、契約社員、パート・アルバイト、派遣社員が働いており、できる仕事の内容、働ける時間と時間帯、働ける日がそれぞれ異なる。こうした条件ごとにヒトを“単人管理”する。

 単人管理ができれば現場は繁閑や仕事の内容に応じて「この時間帯にこの仕事ができる人を何人配置」といった計画を立てて人員を手配できる。一方、本社は全体の仕事内容と人数を把握したうえで、ヒトに関する施策を打てる。ある仕事について全体でヒトが足りないのであれば育成策を検討するか仕事を見直す。状況を理解したうえで現場と共に改善案を考えてもよい。