自分の心を感じ、正直に見せること

 メンバーから信頼される『人間力リーダー』には2つのことが重要です。自分のモチベーションのコントロールと、周りのメンバーのモチベーションのサポートです。

 自分のモチベーションのコントロールとは、自分自身の心をしっかり見つめ、いきいきしているのか、落ち込んでいるのか、自分の心の状態を意識することです。仕事に忙殺されている多くの人たちは、自分自身の心の状態を全く分かっていません。

 リーダーがいきいきと働いているか生きているかを、メンバーはしっかり見ています。心に蓋をして機械のように働いているリーダーに魅力は感じませんし、相談することもできません。だからといってメンバーの目を意識して、モチベーションが高いふりの演技をするのもダメです。これまた演技をしていることをメンバーたちに見破られてしまいます。ひいてはメンバーとの心の距離ができてしまい、信頼関係が築けなくなります。自分のモチベーションが下がっていたり、まいっていたりする姿を見せていいのです。ただし、自分のモチベーションを下がりっぱなしではなく、上げていくすべを体得していることも重要です。

メンバーの心の状態を敏感に感じ取り、サポートするためには

 もう一つのポイントは、メンバーのモチベーションのサポートです。モチベーションの高いメンバーは、放っておいてもどんどん頑張ります。だからこそ、モチベーションが下がっているメンバー、落ち込んでいるメンバーの心の復活をしっかり応援できるかどうか、寄り添うことができるか、これこそが最も重要です。これができないと、ストレスで休職に入ってしまったり、辞めてしまうこともあります。

 そのためには、リーダー自身の心の状態がポイントとなります。特にモチベーションが低くなっているメンバーの心に寄り添うことは、リーダー自身のモチベ―ションが低い時よりも高い時の方が実は難しくなります。自分のモチベーションが高い時は、弱った人の気持ちが理解できずに頭で考えて何とかしようとしがちです。

 昨年10月の研修を振り返ると、30人のメンバーの顔を全部思い出すことができます。一人ひとりがどんな表情で私の話を聴いていたか、声が出せない分だけ、私の五感が研ぎ澄まされ、敏感になっていたように思います。私自身の心が弱っている分だけ、柔らかくなり、他の人の心の状態を感じ取りやすくなっていたのだと思います。

 リーダーが自分のモチベーションのコントロールと、チームメンバーのモチベ―ションのサポートがしっかりできていたら、チームメンバーはリーダーを信頼します。昨年10月の研修では、私自身がそれを、改めて気づく大切な学びの場となりました。人を育てること、人に関わる場面こそが、自分の「人間力」が磨かれるチャンスなのだと思います。

植田 寿乃(うえだ・ひさの) キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント
植田 寿乃

 IT業界の人材育成を目的に有限会社キューを設立。その後、人材開発業界に転身。「モチベーション・リーダーシップ」「経営陣、管理職の人間力アップ」「女性と組織の活性化」「メンター育成」に取り組み、各種オリジナルカリキュラムを開発し、研修・講演を実施。著書に『「女性を活かす」会社の法則』『キャリアセレブになる36の秘訣』『30歳からの幸せなキャリアの見つけ方』など。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。