『令和』時代を目前に、多くの企業が「働き方改革」と「ダイバーシティ推進」を加速させています。組織や人事制度の大胆な変更、管理職の世代交代、兼業(副業)の解禁と驚くべき変化が起きているはずです。

 これらの変化は、すべての人たちがイキイキ働き続け、モチベーション高く成長し続ける会社、つまり「人を育て生かす組織」になることが会社の存亡に関わる重要なミッションだと、多くの会社が自覚し始めたからです。しかし、こうした急激な変化に対し、社員の戸惑いも大きくなっています。働き続けるだけでなく、イキイキと働き成長していくにはどうすればいいのか?

 だからこそ、組織風土の変革をリードし、自らがイキイキ働き、チームメンバーの成長を応援できる「人間力リーダー」が増えることが重要です。リーダーとは、必ずしも経営陣や管理職だけを指すのではありません。入社して2~3年たてば後輩を持ち、プロジェクトの責任者となり、チームをリードする場面が必ず出てきます。前回、経営陣や管理職が人間力リーダーになることが重要だと書きましたが、人を育て生かす組織では、すべての社員が人間力リーダーになっている組織である必要があります。

多様な部下たちがいるが、目指す姿は同じ

 今の会社はまさにダイバーシティ(多様)な人材の集合体です。20~30代の肉食女子&草食男子世代、30~40代ワーキングマザー&イクメン世代、50代企業戦士&バブル体験世代と、人生観の違う世代が混在し、しかも育児や介護や病気などを背負いながら働く人で溢れています。こうした多様なメンバーたちと関わらなくてはならないリーダーたちは、とても困惑しています。

 「人間力リーダーのマニュアルはないのですか?」

 「多様な部下の攻略法、対応法みたいなものはないのでしょうか?」

 「どんな部下にもオールマイティで通用するリーダーシップはないのでしょうか?」

 こうした質問を講演や研修で受けることがあります。これは、リーダーとして部下へ対処するには、頭脳とテクニックでできるという発想から来ています。

 昭和の軍隊型組織で管理職は「部下を使いこなして業務を遂行する」という役割を求められ、「部下の使い方」といった本がたくさん出回っていました。何しろリーダーは「アメとムチ」で、部下を持ち上げて、ある時は脅して、仕事させ結果を出すことが当たり前でした。当時、理想の部下の人間像とは、リーダーの命令に文句を言わずに手を一生懸命動かし、会社優先で働く辛抱強く従順なタイプ、いわば「打たれ強い兵士」でした。こうした兵隊の集団が、組織をつくっていたとも言えます。

 しかし、今、組織の中で求められているのは自分で考え行動することができ、会社とともに成長し、進化し続ける人です。多様なメンバーが目指したい理想の姿はこの一つなのです。このことにリーダーが気が付くと同時に、今までのリーダーシップに対する発想を大きく転換することが必要です。

植田氏提供