自己流は捨てて、「7つのリーダーシップ」をすべて使いこなす

 私の同世代(50歳)以上の男性は、歴史上の武将などをロールモデルにリーダーシップを学ぶ人が多くいました。女性の私は、昭和ですら古いのに、「士」の時代まで遡ってリーダーシップを語る男性たちに違和感を持っていました。しかし一国の主に上り詰めた戦国武将の姿が、軍隊型組織における企業戦士のロールモデルと感じられるのも自然なのかもしれません。

 また昭和の管理職の多くは、自分のやり方を押し付けて部下を潰してしまったり、成果を出せない部下に対して「弱い」「この仕事に向いていない」「やる気がない」「根性がない」と部下のせいにして、自分のリーダーシップについて反省する人は少なかったように思います。

 私もANAグループで部長職にあった35歳の頃、売上と利益が出ていることをいいことに、できない部下や異動を希望する部下を切り捨てていたと思います。しかし、私は30人の部下全員から辞表をつきつけられた瞬間に、それが大きな誤りだったことに気が付きました。「私のせいだ、私のリーダーシップが根本的にダメだったのだ」と。その後、敗者復活で部長職に戻りましたが、理想のリーダーシップとは何だろうと疑問を持ったまま、暗中模索の状態だったように思います。

 2000年に人材開発業界に転身、「人間力=心を使う力」「EQ」という概念を知り、徹底的に探究しました。そして、人間力をベースにしたリーダーシップ理論に深く感銘を受け、それを進化させた独自のリーダーシップ理論を展開しています。これが「人間力リーダーに必須の7つのリーダーシップ」です。

 理想のリーダー像とは、一つの姿で表現できるものではないのです。仕事を遂行させるだけなら、マニュアル通りで失敗せずにうまくいく場合もあります。トラブル対応集だけで問題解決できる場合もあります。しかし、人を育てて生かすことに完璧なマニュアルなど存在しません。

 なぜなら、チームメンバーは自分自身とは違う人間です。そして多様な人生観を持ち、多様な人生を生きている人たちです。到達すべきゴールは、チームメンバーの自立、成長、そしてチームとしての業績達成です。そこにすべての人に共通して対応できるマニュアルやトラブル対応集をつくることはできません。メンバーの状態、仕事の状況に応じて臨機応変に対応し、適切なリーダーシップを発揮できなくてはなりません。それは頭で考えるのではなく、心で感じ、心を使い、心を動かす、まさに「人間力」の上に成り立ちます。

 リーダーシップをゴルフクラブのようにイメージしていただくのがいいと思います。上手なゴルファーは、練習もしっかりしますが、その日の天候やコースの状況、自分の体調を踏まえて適切なクラブを選びます。ですから、良いスコアでコースを周ることができます。下手なゴルファーは、練習不足もありますが、間違ったクラブを選んでしまったり、自分が得意なクラブだけを振り回したりして失敗します。

 リーダーシップも自己流にこだわることなく、いくつかのリーダーシップを持っていて、場面に応じた必要なリーダーシップを発揮できるのが、まさに「人間力リーダー」です。その要素は7つあります。

「1 強制型リーダーシップ」
「2 管理型リーダーシップ」
「3 ペースセッター型リーダーシップ」
「4 ビジョン型リーダーシップ」
「5 関係重視型リーダーシップ」
「6 民主型リーダーシップ」
「7 コーチ型リーダーシップ」
の7つです。