今回は、7つのリーダーシップのうち、昭和の軍隊型組織時代によく使われていた2つのリーダーシップについて解説します。特にこの2つは、それぞれの特徴、日常的に使うとチームメンバーや組織へどんな影響を与えるのか、使うべき適切な場面を知ることが重要です。リーダーとして、自分自身のメンバーや後輩に対する関わり方を、鏡に映しながら、気づきを深めてください。

植田氏提供

「 1)強制型リーダーシップ」の出番は激減した

 「私はリーダーです。私の指示の通りにやってください」

 「○○さん、これはこうやって。終わったら、次はこうやって」

 「私の言った通りにやっていれば間違いないから、やりなさい」

 このように「強制型リーダーシップ」はリーダーがチームメンバーに対して、トップダウンで命令や指示をどんどん出していくものです。必ずしも大声で怒鳴りつけるわけではなく、一方的にメンバーに指示を出していくイメージです。

 まず、気をつけたいのがこのリーダーシップを発揮している時のリーダーのモチベーションです。このリーダーシップはリーダー自身のモチベーションが高い時、自信に満ち溢れている時に、実行する可能性が高いものです。また、自分の指示や命令通りに、チームメンバーや後輩が動いてくれると、リーダーはとても気持ちが良い状態でしょう。つまり、日常的にこのリーダーシップを発揮していると、意外にもリーダー自身は何も問題を感じていないのです。

 一方で、チームメンバーの状態はどうでしょうか? これは大問題で、マイナスの影響を受けています。日常的に強制型リーダーシップが発揮されていると、メンバーのモチベーションは非常に下がっていきます。指示通りに何も考えずに仕事をこなすようになっていきます。モチベーションはどんどん下がり、絶対服従の奴隷のような気持ちになっていきます。もし、リーダーが、メンバー全員に対してこれを日常的にやっていれば、チーム全体のモチベーションをどんどん下げていることになります。

 このリーダーシップは日常的には使わないでほしいリーダーシップの1つです。ただし、もちろん出番があります。7つのリーダーシップの中でいらないものは1つもないのですから。

 例えば、プロジェクト進行時に突然、大きなトラブルが発生した時、または地震など緊急な場面や、メンバーが感情的に動揺し、チームがパニック状態になっている時などです。

 「みんな落ち着け、私の指示通りに動けば大丈夫だ!」

 「私を見ろ、君は何も考えなくていい」

 まさに「強制型リーダーシップ」が必要とされる場面です。大事なのは、トラブルやパニックが収まりメンバーが落ち着いたら、速やかにやめることです。

 さて、この「強制型リーダーシップ」は、昭和の軍隊型組織では最も重要視されたリーダーシップでした。軍隊の隊長として、部下を力で動かす強いリーダーが求められていた時代だからです。そのため日本の企業には、上司からこの強制型リーダーシップだけで鍛えられて、自分が部下を持った時に、同じくこればかりを使ってきた45歳以上の管理職がたくさんいます。

 しかし、今の時代の会社や組織は軍隊型組織ではありません。これを日常的に使ってしまえば、間違いなくパワハラとなってしまいます。企業の部長職などのリーダーが、パワハラをした自覚がなくても部下から訴えられる場合、このリーダーシップばかりを日常的に使っていたはずです。この強制型リーダーシップは2000年を境に出番が減ったことを、しっかり心に留める必要があります。