「5)関係重視型リーダーシップ」でなければ、メンバーの心に寄りそえない!

 「忙しいけど、昼ご飯をきちんと食べている? 仕事も大事だけど、あなたが一番大事。無理しちゃだめだよ」

 「お互いに助け合っている? うちのチームは助け合い、皆で頑張るんだぞ」

 「関係重視型リーダーシップ」は、メンバーの気持ち、チームの人間関係をリーダーが非常に気にかけて声をかけていく、まさに「人間関係重視」のリーダーシップです。リーダーはメンバーと同じ目線となるように心がけ、彼らに絶えず気を配り、どんどん声をかけます。

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 このリーダーシップは日常的に使われるとプラスの影響を与えます。

 メンバーは、「リーダーから自分が心配されている、大事にされている」と感じます。このリーダーシップを、特に意識して使ってほしい場面があります。一つは当たり前ですが人間関係がぎくしゃくしている時です。そして、もう一つはメンバーに負荷がかかり非常に忙しい状態で働いている時です。皆さんも、それぞれに仕事が忙しい山場の時期があるでしょう。それこそランチを食べそこなったり、残業しなくてはならなかったりするほど仕事が山積みで必死に働いている時に、上司が自分の横を何も言わずにスーッと通り過ぎるのか、「この3日間は忙しいな。皆、頑張ってくれているが、体を壊してないか? 風邪ひいてないか?大丈夫か?」と声をかけられるのとでは、大違いです。リーダーからの思いやりの一言で、メンバーの心が救われます。

 一方で、リーダーが、このリーダーシップだけで、チームメンバーや後輩に関わってしまうと問題が生じます。

 たとえば、メンバーが大きなミスをしてお客様からクレームが入った時、チームメンバーから事情を聴く時に、部下が「すみません、申し訳ありません」と謝り始めてしまうと、「参ったな~、これが2度目の失敗ですよ。でもそんなに反省しているなら、しかたがない。2度あることは3度にならないように気を付けてね。もう席に戻っていいよ」などと、ミスやトラブルの原因追及と対策が甘くなります。

 また、業績が出ていなくとも、メンバー達が一生懸命やっている姿を見ていると「上期は業績未達だけど、皆頑張ったんだし、しかたないよ。数字は下期に頑張ればいいよ。それより皆で頑張った慰労会をしよう」というように、達成すべき業績目標へ到達できなくなっていきます。チームの雰囲気は笑顔で和気あいあいの「仲良しクラブ」と化します。そのため、前回前々回に出てきた「2)管理型リーダーシップ」「4)ビジョン型リーダーシップ」と併用、合わせ技で一緒に使っていくことが重要です。

 さて、昭和の軍隊型組織においては、この「関係重視型リーダーシップ」は、リーダーシップに入っていませんでした。昭和は「部下を鍛えて、使いこなす!」時代だったからです。強い兵士にするためには、鍛えることは重要でも、優しい声をかけて気遣うのは「部下を甘やかすこと」と思われていました。

 「部下に甘くしてどうする。部下から舐められるぞ!」

 こんな言葉が飛び交っていた時代、人間関係重視は不要でした。しかし2000年を超えて、ダイバーシティ&インクルージョンの組織となり、多様な人たちが皆イキイキ働いていくためには、メンバー一人ひとりの気持ちを大事にすることが重要です。そこで、2000年以降に、「関係重視型リーダーシップ」は大事なリーダーシップとして仲間入りすることになりました。

 また、チームメンバーの心を気遣うという意味では、男性に比べ感じる力が強く、心を使うことが得意な女性たちの中には、意識せずにこのリーダーシップを日常的に発揮している人がたくさんいます。母性に通じるリーダーシップといえます。