ストーリーは、TEDトークのような場面で語るもの。そう思う人もいるかもしれません。

 しかしストーリーの力は、実は、ビジネスプレゼンでこそ発揮されるものなのです。

 自社の商品やサービスをアピールし顧客を説得したい場合、新たなコンセプトを理解してもらいたい場合、社員全体の士気アップや意識改革、行動喚起を行いたい場合、自社のビジョンやゴールを投資家たちに伝えたい場合、などなど、つい、データや数字、理論などの「事実」、「論理」といった「情報」を事例紹介として並べがちですが、これらの「情報」だけではなかなか心に刺さりません。正論を語れば語るほど、聞き手の心が離れてしまった。そんな経験はありませんか?

 逆に、伝えたい情報をストーリーに乗せて伝えることで、途端にプレゼンでメッセージが生き生きと立体感を持って感じることができるようになります。聞き手はワクワクドキドキを体感したりしながら共感できるのです。だからこそ、記憶に残りやすく、腹落ちしやすくなるのです。

 ストーリーは、聞き手の興味をかきたて、情緒的にコネクトします。その理解を頭から体に落とし込み、複雑な内容をシンプルに説明でき、そして、聞き手の学びをも引き出す力を持っているものなのです。プレゼンの成功はストーリー作りにかかっているといっても過言ではありません。

 次回からはプレゼンの実例も交えながら、単なる事例紹介から聞き手の心と頭を動かす「コーポレートストーリー」へと進化させるためのコツを解説していきます。

リップシャッツ 信元 夏代(りっぷしゃっつ・のぶもと・なつよ)

アスパイア・インテリジェンス社 代表取締役
ブレイクスルー・スピーキング代表

リップシャッツ 信元 夏代  早稲田大学商学部卒。ゼミ専攻は「異文化コミュニケーションとビジネス」。NYUにてMBA取得。1995年に渡 米後、伊藤忠インターナショナルにて鉄鋼、紙パルプ業界の営業・事業開発に携わる。その後マッキンゼーに て消費財マーケティング・事業プロセス改革などの業務に携わった後、2004年に、事業戦略コンサルティング 会社のアスパイア・インテリジェンス社を設立。
 TEDxTalk スピーカー。2013年、2014年春季トーストマスターズインターナショナルの国際スピーチコンテス トでは、日本人初の地区大会優勝2連覇を果たしている。この経験を受け、2014年9月にブレイクスルー・スピ ーキングを設立。グローバルに活躍したい日本人のためのグローバルパブリックスピーキングのE-learningプ ログラムを中心に、個人コーチングセッション、企業内研修等も行う。
BREAKTHROUGH Speaking: https://www.btspeaking.com

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。