ワンビッグメッセージの明確化―事例 改善後

 そうはいっても、全部伝えたいのかもしれません。

 しかし、情報には、優先度合いやレベル感の違いがあります。聞き手の心が動くために最も重要なメッセージは何かを基準に情報を整理してみると、聞き手に最も響く情報と、その周辺情報に分けられるはずです。

 このプレゼンは、経営者に対して自社の戦略はこうすべきだ!と訴えかけることが目的でした。「自社の戦略」に関して経営者が最も反応する情報は何でしょうか。

 それを念頭に置いた「ワンビッグメッセージ」を意識した改善例が以下の通りです。

 わが社の市場機会を事業効率よく高める。それがリバース・イノベーションの最大の利点です。

 リバース・イノベーションとは、新興国で生まれた技術革新や、新興国市場向けに開発した製品などを先進国に逆輸入するというコンセプトで、P&GやGE、ネスレ、マイクロソフト、などなど多くのグローバル企業も取り入れ、市場機会の拡大を効率よく高めています。

 まず伝えるべきメッセージを明確にし、そしてその理由を説明する流れで伝わりやすくなっているのが分かります。

ワンビッグメッセージは20字以内で

 さらに、ワンビッグメッセージは短く簡潔にまとめ、要所要所でそれを語っていくことで、相手により深く刺さることになります。

 上記の改善例では、「わが社の市場機会を事業効率よく高める」がワンビッグメッセージです。全部で18文字。英語の場合は10文字以内で、と言われるのですが、日本語にすると約20文字が適切な長さです。

 みなさんも良く知るテレビコマーシャルを考えてみてください。

「やめられない、とまらない、かっぱえびせん」(18文字/カルビー)
「セブンイレブンいい気分」(11文字/セブン‐イレブン)
「すべてはお客様の『うまい』のために」(15文字/アサヒビール)
「お金で買えない価値がある」(12文字/マスターカード)
「自然と健康を科学する」(10文字/ツムラ)

 20字以下に凝縮する、というルールを決めておくと、本当に言いたいことだけに徹底的に絞り込まないといけませんから、異なる解釈をする余地を与えず、圧倒的に伝わるメッセージに仕上がるのです。また、端的で、メッセージを覚えやすくなり、聞き手の脳裏にしっかりと焼き付いてくれるのです。