「パーソナルブランディング」が今、ビジネスパーソンの間で注目を集めています。ファイナンシャルアカデミー(東京・新宿)が2018年に実施した意識調査では、30代男性の半数以上が「パーソナルブランディングで会社員の稼ぐ力が変わる」と回答。また「Forbes」誌のコントリビューターWilliam Arruda氏は、「2019年に起きるキャリアのトレンド6選」の中で「パーソナルブランディングの重要性がさらに増す」と述べています。

 国内の企業においても、保険会社が自社の営業パーソンに向けてパーソナルブランディングの技術を紹介したり、金融・サービス・メーカーなどが企業研修に導入するなど、人材育成業界で注目されているテーマになっています。

会社員にパーソナルブランディングが必要な理由

 パーソナルブランディングというと「芸能人やアーティスト、起業家など、特別な仕事をしている人のためのものでは?」と思う方もいるでしょう。しかし、そうではありません。

 パーソナルブランディングは、その人「らしさ」をまっすぐに伝える技術のこと。業種や職種に関係なく、会社員こそ大いに活用したい技術なのです。

 ここでいう「らしさ」には、仕事のスキルだけでなく、仕事にかける情熱や、仕事の経験値、人脈、コミュニケーション能力なども含まれます。また第一印象や服装、話し方、プレゼン能力など、「外部からの見え方」も影響します。

 さらには年齢や育った場所、家族関係、趣味、過去に乗り越えてきた経験(ただし差し支えない範囲で。伝えたくないことは伝えなくて構いません)、また前職で何をやっていたかなども「らしさ」の材料になります。

 例えば、休みの日に趣味でスポーツをしている人なら、道具の種類、関連する企業名、海外スポーツの動向などを詳しく把握しているでしょう。趣味の人脈もあるかもしれません。

 ワーキングマザーの方なら、育児経験や、地域のネットワークでの視点などを持ち合わせており、その気づきから新しい仕事を開拓できる可能性があります。

 このように、パーソナルブランディングでは、一見、本業とは直接関係ないと思われるようなスキルも統合して明文化し、「その人らしさ」として際立たせます。

 つまり100人の社員がいるなら、100通りのイノベーションの起こし方が、可能性として眠っているということ。これが、筆者が人事施策として会社員のパーソナルブランディングを推したい最大の理由です。

写真:123RF

「指名を受ける人」になる

 営業パーソンや販売員、広報担当者、そしてリーダー層、経営者については、特にパーソナルブランディングが重要です。

 その人へ指名の仕事が来たり、自然に仕事が集まってくる状態。これがパーソナルブランディングのゴールだからです。

 先日、私にある会社の広報担当者がそっと耳打ちをしてきました。「わが社は、社長の個性が弱いため、取引先やマスコミからどうも『なめられて』しまう。パーソナルブランディングの技術で、社長の個性を浮き彫りにしてほしい」。さらには「取引先へのプレゼン用に、経営幹部の顔写真を撮影し、プロフィルを作成してほしい」というご依頼も日常茶飯事です。

 また、グローバルビジネスを展開している企業から「日本企業流のプレゼンは海外の顧客に通用しない。一人ひとりが話し手として『個性』をより発揮できるよう、役員のパーソナルブランディングをしてほしい」とか、「海外展開にあたり、役職者の服装・立ち居振る舞いについて客観的なアドバイスが欲しい」というご相談をいただくこともあります。

 このように、個人のパーソナルブランディングが、企業の存在感にも大きく影響を与え、同業他社との差別化要因となるのです。

 社員や経営者の個性が浮き彫りになることで、顧客や取引先にもメリットがあります。「仕事を依頼するならあの人を指名したい」「取引先の担当者が何が得意なのか、よく分かっている」という状況は、お互いの仕事をよりスムーズに、的確に進める材料となるでしょう。