社員一人ひとりの個性を際立たせ、
その人らしい仕事を作れるか

 企業内を見渡すと、IT活用やAI導入、RPA(Robotic Process Automation=ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用などが進んでいます。その結果、業務効率を上げ、業務の工程が可視化できるようになりました。

 経営的視点からは、複雑で手のかかる作業をロボットに任せ、余剰人員をカットして費用削減となるなら歓迎です。しかしその「余剰人員」を、組織の中で再びどのように活用するかという点は、RPA推進論の中であまり語られていません。

 社員の同質化が重んじられ、少品種・大量生産が推進された昭和の時代から、モノ余りの平成を経て、「令和」に。これからの日本社会は、あらゆる視点から多品種・少量生産の商品開発を行うことが必要となります。「社員一人ひとりの個性をどれだけ際立たせ、その人らしい仕事を作ることができるか」……多様な人材の活用方法について、企業が真剣に考える時代になると感じています。

 私がコンサルティングを行っている中小企業の例を挙げましょう。

 5年間連続で売上・利益率ともに下がり続け、人員削減もやむなしという状況でしたが、社員の個人スキルを業務以外にまで広げて徹底的に棚卸したところ、同社にとって全く新たな商品・サービスを、いくつも開発することができました。

 社員たちの前職での経験や、今の会社で全く活用していなかった国家資格を組み合わせたり、個人の趣味・特技、家族構成、将来のビジョンなども新商品やサービスの開発に役立てることができたのです。

 社員の「同質でない」ところを見つけることで商品やサービスが誕生したわけですが、自分自身の個性あふれる商品・サービスを任された社員は、みな本当にうれしそうで、やる気に満ち溢れています。売上低迷のよどんだ空気から脱することができたのは、社員の個性を生かす商品開発を信じた社長の度胸によるところが大きいと感じました。

ダイバーシティに寄与する
パーソナルブランディング

 ダイバーシティとIT(AI)の導入と推進。この環境下で、人本来の個性とスキルを発揮させるのが、パーソナルブランディングです。

 パーソナルブランディングとは「その人らしさ」を明確に際立たせ、まっすぐに周囲に伝える技術のこと。業種や職種は関係ありません。また、自分を過大に見せることでもありません。会社員でも、自分の魅力やスキルを整理して伝えることで、自分に対する周囲の理解を促進することができます。

 人材マネジメントにおいては、社員それぞれの個性を丁寧に見つめ直し、発信力をつけさせることで、社内に新たな仕事を発見し、大胆な配置転換を成功させることができます。つまり、客観的な人材価値を高めることができるのです。一人ひとりの「人間的な能力を生かす」ことこそが、パーソナルブランディングの効能です。

 これから、パーソナルブランディングを業務に取り入れる企業が増えることは間違いありません。