日本企業の人事がとらわれがちな、組織や考え方の「枠」を越えるにはどうしたらよいだろうか。例えば、イノベーションを生む組織にはダイバーシティが不可欠だ。では、人事が取り組む仕掛けとは? 人事のデータ化、採用を変える、抜擢(配置)を行う、社外で通用する人材を育成する……打ち手はさまざまある。ただ共通しているのは、社内の他部署や各拠点、さらに社外と一緒に取り組むことや、新しい手法が必要とされていることだ。このコラムでは「枠」を越えるアクションを起こしている人事の方々にインタビューしていく。

 きっかけは、19年10月に一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会の「Digital HR Competition 2019」を取材したことだった。このコンペティションではHR領域でのデータ活用の取り組みについて、事業会社と各社人事の事例が表彰される。そこで人事事例「ピープルアナリティクス部門」のグランプリを受賞したのが村田製作所だった。採用面接で自社のセンシングデータプラットフォーム「NAONA」を活用した取り組みだ。自社技術を人事部門に導入し、人事のあり方にイノベーションを起こそうと試みている点に興味を持った。その着眼点と考え方、実現までのプロセスを知りたいと思い、中心となって進めてきた同社の中島 彰氏に話を聞いた。

村田製作所のセンシングプラットフォーム「NAONA」で使用する機材(左からコミュニケーションセンサーとゲートウェイ)。360度の指向性をもったコミュニケーションセンサーを利用して参加者の会話状況をセンシング。参加者の会話から言語情報(実際の会話内容)を除いた独自の特徴データに変換し、発言した回数、時間、長さなどをデータ化、それを用いて人と人のコミュニケーションの質を見える化する。19年6月、その一例として、1on1ミーティングにおける上司と部下のコミュニケーションの状態を可視化する「NAONA×Meeting」もリリースした。(出所:村田製作所)

人と「人の心」に興味があった

――ピープルアナリティクス部門グランプリ受賞、おめでとうございます。まず、中島さんが人事としてどのようなキャリアを歩んできたのかを聞かせてください。

中島 彰氏(以下、敬称略):2010年に4年制大学の人間科学部を卒業しました。心理学・教育学・社会学などいろいろな分野を勉強する文系学部で、統計学みたいな理系の科目もあり、心理学分野では実験もしたり……という不思議な学部です。元々、人間や人の心に興味があったからこの学部を選びました。

村田製作所 企画管理本部 人事グループ グローバル人事部 グローバル企画課 チームリーダー 中島彰(なかしま・あきら)氏 (撮影:石田高志)