――フランスのカンヌ……?

中島:はい。「カンヌライオンズ広告賞」という社会課題を解決するような取り組みを表彰する賞なんです。NAONAを活用した取り組みを応募するプロジェクトがあって、それがきっかけで興味を持ちました。

村田製作所 企画管理本部 人事グループ グローバル人事部 グローバル企画課 チームリーダー 中島彰(なかしま・あきら)氏 (撮影:石田高志)

――中島さんがNAONA事業部門に「面接で使いたい」と交渉したんですか?

中島:NAONAはセンサー技術を使ったセンシングデータプラットフォームで、発言のテンポや感情値などの客観的なデータを取ることができます。例えば、企業で盛んに行われている1on1ミーティングの質改善のソリューションとして提供していますが、人事業務でも採用、教育、育成、評価など、いろいろな用途に使えそうだと考えていたんです。それで新規事業創出のワークショップに参加しました。NAONAを使った採用面接というテーマを提案し、まずは社内で実証実験をしてみよう、ということになりました。

――御社は自分の仕事以外にもいろいろチャレンジできる社風だと伺っていますが、それを地で行く働き方ですね(笑)。去年1~3月にNAONAを使った面接の実証実験をしたと。どんな仮説を立ててスタートしたのですか。

中島:マーケティング部門と要件定義についてディスカッションするなかで、「面接の質を上げたいけど、そもそも『面接の質』って何だろう?」と。面接の主目的は合否を決める“見極め”ですが、最近重要になってきているのは、応募者の入社意欲を高める“動機づけ”でないかという意見が上がりました。

――それが内定辞退者を減らすことにつながると。

中島:そうです。圧倒的な売り手市場なので、応募者は複数の会社から入りたいところを選べる状況にあります。これまで採用側は面接して合否を決めるだけでよかったのですが、今は逆に応募者から見られる立場です。ですから“見極め”と“動機づけ”の2つを高められたら面接の質が高いと言える、と定義しました。

――実証実験を実施するうえで、社内に異論はありませんでしたか?

中島:人事部でも「新しい取り組みをするのはいいことだが、面接者の工数が増えたり、応募者が不愉快な気持ちにならないか」という声もあり、説得するのには苦労しました。NAONAを使うことで応募者が減ってしまったら本末転倒ですから。