長期化するコロナ禍のもと、どの企業も手探りで人材育成に取り組んでいる。リモートワーク環境がいち早く整備されていたIT企業も例外ではない。2017年、SOMPOグループIT企業のSOMPOシステムズは約1700人のITエンジニアが自ら学び、ITスキルを向上するよう促進する「スペシャリティ認定制度」を導入(前編参照)。今年4月からはリモートワーク環境を逆手にとって、サービス系IT企業エンジニアとして求められるスキル転換と強化を図る新しい研修をスタートさせた。この着想と成果について、SOMPOシステムズの宮田寛子フェロー兼人材育成部長に聞いた。

SOMPOシステムズ フェロー兼人材育成部長
宮田寛子(みやた・ひろこ)氏
(出所:SOMPOシステムズ)

――前回取材時に独自の新入社員研修「Fast Path」を発展させていくと聞いていましたが、今年はオンライン化したのですね。

宮田氏(以下、敬称略):Fast Pathは新入社員研修というより、新入社員研修後、新入社員が初めて行う業務と位置づけています。新入社員研修はビジネスコミュニケーションやプログラミングの基礎などを学ぶ集合研修です。3月末に、この集合研修をすべてオンラインにする決断をしました。新入社員42人を7グループに分け、各グループの担任として人材育成部の担当者が就きました。そして毎週金曜日は講義を入れず、各自の復習の時間として定着化を図るカリキュラムに変更しました。

チャットを使い倒し、文章力を徹底的に鍛える

 このオンライン研修では、新入社員が文字のみでコミュニケーションができるようになることを目的としました。コミュニケーションは表情や抑揚、ジェスチャーなどの非言語要素が8割を占めると言われ、文章だけで言いたいことを伝えるのはとても難易度が高いのです。そのうえ彼らは学生時代、調べた内容をまとめてレポートを書く機会が多い半面、自分の考えやその根拠を述べる経験が少なく苦手としていました。コロナ禍のリモートワーク環境では、文字に依存したコミュニケーションをとらざるを得ません。そこでコミュニケーションの量と質を補う文章力を養うため、チャットを「使い倒す」ことにしました。単位時間内に書ける文章の量を増やし、語彙力を上げることで質も向上させるのが目的です。

 まず用途別にチャットルームを設計しました。プログラミングなどの研修を受講する「研修ルーム」、その内容について新入社員同士が議論したりレビューしたりする「研修用討議ルーム」に加え、私や担任と新入社員がコミュニケーションを取ったり課題をやり取りする管理用のルームも作り、彼らとのコミュニケーションがほぼチャットで完結できるようにしたのです。