イノベーションを産み出す「クリエイティブ・キャピタル」

 「クリエイティブ・キャピタル」とは、専門知識や技能を身につけ、顧客や社会にとって価値が高い仕事をする人材のことです。

 分かりやすい例を挙げましょう。グーグルで人事評価における画期的な仕組みを編み出したジョナサン・ローゼンバーグ氏は、共著『How Google Works』(日本経済新聞出版社)において、同社の採用方針を「ラーニング・アニマルを採用する」と表現しました。

 すなわち「自分よりも優秀な人間を採用する」こと。優秀な人間とは「何を知っているか」ではなく、「これから何を学ぶか」を知っている人を指します。「クリエイティブ・キャピタル」も同じです。

 「クリエイティブ・キャピタル」は、AIやRPA(Robotic Process Automation、ホワイトカラーの単純な間接業務を自動化・効率化する技術)などに置き換えられない、知識やスキルを身につける「創造的学習」に取り組む人材です。

 プロフェッショナルとして同僚や顧客から認められ、価値を産み出す「クリエイティブ・キャピタル」になるには、自分の得意分野を持つことが欠かせません。価値の創出に結びつく知識やスキルを、競争相手より早く身につけ、常に高い水準を保つ学習が鍵となります。

 このような自律的な「学習」は、学校や企業内研修などで、情報や知識をインストールされる、受け身の「勉強」とは異なります。

「創造的学習」が「クリエイティブ・キャピタル」をつくる

 世の中が大きく変わる時には、既存の知識体系や理論だけでは世の中の変化についていけません。自分が取り組むテーマを念頭におきながら、そのテーマを実践し、研究している人を探す。自分と異なる視点や知識を持つ人と、対話や議論をすることで自分の視野が開けることもあります。

 学習のプロセスそのものがルーティンではなく、創造的であることが最大の特徴です。では、その5つのポイントをご紹介しましょう。

1.テーマを見つける
 自分のキャリアで追求するテーマを自分自身で決めることで、上司の道具や組織の歯車ではなく、人生の主役になれます。テーマ決定は、創意工夫や創造性を発揮するための「土台」です。

2.没頭して楽しむ
 多くの日本人が「学習とは頑張って多くの知識やスキルを記憶すること」と思っています。しかし、イノベーションに向けた「創造的学習」では、自分が没頭できるテーマの追求を楽しむことが大切です。仕事を楽しむことで高い生産性と創造性を発揮できるようになります。

3.実体験する
 「創造的学習」は実体験を伴う現場でのトライ・アンド・エラーを繰り返すことが大事です。後輩を指導したり、新規プロジェクトの立ち上げや組織変革に参画したりすることでリーダーシップを高めることも大切です。

4.他者と交わる
 自分のテーマとなる分野で、互いに学び合う仲間と学習コミュニティをつくりましょう。コミュニティを越境することも貴重な体験です。互いに専門性が異なる人たちとの交流と協働から、イノベーションに向けたテーマやアイデアが見えてきます。

5.教え合う
 多くの人たちが連携し、多様な専門性、発想の切り口、情報が組み合わさることで初めて、イノベーションのタネができます。その要となるのが、相互学習です。教える経験を通じて、他人との違いを実感し、受け入れられるようになります。さらに、相手の理解や共感を引き出す難しさやコツも学ぶことができます。