第1に挙げた「自己の成長」を感じる成長欲求が大切です。この「自己の成長」が働きがいに直結することを明らかにした、最新の調査結果があります。

 2017年10月に日経BPコンサルティングが実施した「働き方改革と企業競争力診断サービス」のベンチマーク調査(※1)で、「仕事に対するモチベーションや成長」というテーマで質問しました。すると「仕事での成長を実感する機会が多い」と答えた人ほど、「現在の仕事に対してやる気を感じている」、「ビジネスパーソンとして将来像にイメージを持っている」と答える傾向が高いことが分かりました(※2)。

 加えて、成長欲求は、達成欲求や親和欲求とともに、自分自身の内部から生まれるものなので、やる気が長く続きます。では、若手社員とベテラン社員それぞれが感じる「自己の成長」とはどのようなものでしょうか。

若手社員は眼前の仕事を通じて力をつける

 仕事における「成長欲求」は数十分、数時間で得られる達成感というよりは、数カ月から数年の経験を通じて自分が成長したと感じられる感覚だといえるでしょう。若手社員の場合は、一つひとつの仕事経験を通じて、新しい知識やスキルを身につけていくことが自己の成長につながります。

 一人だけではなく、仲間とともに成し遂げる経験であれば、達成感や喜びも大きくなります。若手の成長に、大切な役割を果たしているのがベテラン社員です。

ノウハウを形にし、後輩を育てるのがベテラン社員

 ベテラン社員は、自身が定めたキャリア目標に向かって近づくことを通じて、「自己の成長」を実感します。また、管理職やリーダーの立場にあるベテラン社員こそ、自分自身を鼓舞するだけでなく、上司として、先輩として、周囲の人たちを元気づけることも必要になってきます。

 モチベーション向上を自分だけで完結させるのではなく、職場の中でモチベーションをどう連鎖させていくのか。メンバーと共にチームの成果を上げることを通じて、メンバーをいかに育てていくのかが大切です。

 特に、リタイアを間近にした社員なら、自身のキャリアの集大成としてノウハウを形にして残すこと、自身の後継者を育てることに、働きがいを感じることが多いでしょう。

 今後、ベテラン社員はますます増えていきます。ベテラン社員が若手社員の成長を上手に引き出していくことが、職場全体の活気を高めます。仕事の達成水準を高めるために、皆が幸せに働けるように、メンバー同士が率先して助け合う雰囲気作りを目指していきましょう。

(※1)社員の働き方や企業競争力をビジネスパーソンへの意識調査を通じて明らかにした調査。「働き方」を起点として20テーマ、約80項目を質問。調査手法/Webアンケート、有効回答数/5,225件、回答者属性/男性60%、女性40%、年齢/29歳以下21.1%、30歳代26.3%、40歳代26.3%、50歳代26.3%。

(※2)質問項目間の単相関係数を算出。相関係数は、「仕事での成長を実感する機会が多い」という質問に対して、「現在の仕事に対してやる気を感じている」は0.752、「ビジネスパーソンとして将来像にイメージを持っている」は0.651。

原田かおり(はらだ かおり) 日経BP 総合研究所 HR事業部 ヒューマンキャピタルOnline編集長
原田かおり

出版社を経て、2000年 日経BP社入社。カスタム出版やオウンドメディアのプロデュースを数多く手掛ける。ゴールドクレジットカード会員誌『クオリテ』(東急カード)、Webマガジン『大人の心得帳』(NTT東日本フレッツ光/東急文化村)など編集長として企業機関誌やオウンドメディアの創刊・リニューアルを多数経験。2018年2月、「社内コミュニケーション改革セミナー」全体プロデュース・講演。2019年5月、「CHOsummit2019」全体プロデュース・講演、ヒューマンキャピタル2019「働きやすい組織と環境の新しいカタチパネルディスカッション」モデレーターなど務める。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。