半導体製造装置市場で世界第3位のシェアを占める東京エレクトロン(TEL)。18年3月期から2年連続で過去最高の営業利益を達成している。グローバルな人事制度や業績連動型の報酬制度を導入するなど、人材への投資を戦略的に推進する同社の取り組みについて、取締役常務執行役員の長久保達也氏に聞いた。
(取材=大塚 葉:日経BP総合研究所 HR事業部 上席研究員、文=加納美紀)

変化に強く、逆境をばねに成長する社風

――御社の原動力となっている「世界で戦える人材」とはどんな人か、またその育成について教えてください。

長久保取締役常務執行役員(以下、敬称略):当社は 1963年に技術専門商社として創業し、その後半導体製造装置メーカーとして成長を遂げてきました。技術革新だけでなく、時代の変化に合わせてビジネスモデルと組織オペレーションを進化させてきた当社の強みの一つには、環境や市場の変化への素早い対応力があります。社員一人ひとりがそれらの変化に鋭いアンテナを張り、今自分が何をすべきか考えて行動できる能力が、東京エレクトロンのDNAとして培われています。また、社員のエンゲージメントが上がれば上がるほど、お客さまをはじめとするステークホルダーに対してより高い価値を提供でき、絶対的な信頼を寄せてもらえることつながると信じ、人材への投資を進めています。

 あらゆる変化に適応し成長してきた歴史を経た今、当社が考える「世界で戦える人材」は、どこの国、どのような環境でも能力を発揮し、どのような相手とも協働して成果を出せる人です。競合他社やお客さまの多くが海外にあるため、常に世界という舞台を意識してビジネスを行っている当社では、「世界」と「日本」を分けて考えることは少ないと感じています。そういった環境もあり、当社には未知のものに興味を持ち、新しい環境を楽しめる社員が多い印象ですね。

 このような、世界で戦える人材の育成と活躍をよりサポートしていくために、当社の人事制度もいくつかの変化を経て、現在に至っています。従来から環境の変化やお客さまの要求に機動的に対応するために組織を分け、部門長に最大限の権限を委譲してスピーディーな判断ができるようにしています。組織を分けるもう一つのメリットとして、ポテンシャルを備えた次世代リーダーにとって貴重な経験値を獲得することにもつながっています。

 その一方で、社員の異動が組織内に限定されてしまい優秀な人材を囲い込んでしまう、「サイロ化」を生むというデメリットが生じるリスクもありました。

東京エレクトロン 取締役常務執行役員 Global Business Platform統括本部副本部長 人事・総務・CSR・ブランド本部長 法務・コンプライアンス本部長 倫理委員長 長久保達也氏
1986年、東京エレクトロンに入社。管理部門での業務に携わり、海外駐在などを通じて会社のグローバル展開を推進。2011年執行役員に就任。2015年より取締役および2017年に常務執行役員に就任。