女性活用や働き方改革に早くから取り組んできたポーラで、2020年1月に初の女性社長が誕生した。新卒でポーラ化粧品本舗(現ポーラ)に入社し、着実にキャリアを積んで代表取締役社長に就任した及川美紀氏だ。同社では病気罹患後も働き続けられる制度や定年再雇用制度の年齢制限撤廃など、社員のニーズに合わせて様々な働き方改革を実施してきた。アフターコロナを見据えて人材育成や評価の在り方を見直すなど、時代に即した改革を進めている同社の施策について、及川社長に話を聞いた。
(取材=大塚 葉:日経BP総合研究所 HR事業部 上席研究員、文=加納美紀)

「女性が壁を壊し、男性が片づける」

――御社は早い時期からダイバーシティマネジメントに取り組んでいます。具体的な施策と成果を教えてください。

及川美紀社長(以下、敬称略):化粧品会社ゆえに女性社員が多いこともあり、比較的早く女性活用をスタートさせて徐々に広がってきました。現在は女性管理職比率が28.8%、女性役員比率は40%です。私が2006年に課長になった時点で女性の課長は当たり前の存在で、2012年に執行役員になった時には、常務取締役に1人、執行役員に2人先輩女性がいました。女性が男性と同等に評価される風土は10年以上前から根づいていたと感じます。

 振り返ると、弊社のダイバーシティ推進はトップの意思が大きく影響していたと思います。私が30代の時、当時の鈴木郷史社長(現・ポーラ・オルビスホールディングス社長)が「女性には壁を壊す力がある。女性の突破力に期待している」というメッセージを発信しました。単に「女性を登用する」「女性管理職を3割にする」ではなく、「女性には突破力がある」というはっきりしたコンセプトを打ち出したことで、女性活用が進んだと思います。

 女性に、男性と同じ仕事や働き方を望んでいるわけではなく、「男性だけの同質性」の中ではできないことを期待しているというメッセージは、平社員だった私の心にも刺さりました。鈴木の「女性が壊した壁を、男性が箒(ほうき)とちりとりで片づけるとうまくいく」という言葉は、今でも印象に残っています。それは、「女性は突破力、男性は構築力、といったようにそれぞれ素晴らしい力がある」という意味が込められていました。

ポーラ代表取締役社長 及川美紀(おいかわ・みき)氏
1991年、東京女子大学卒業後、ポーラ化粧品本舗(現ポーラ)入社。販売会社に出向し、美容スタッフ・ショップの経営をサポートする埼玉エリアマネージャー、商品企画部長を歴任。2012年に商品企画・宣伝担当の執行役員、2014年に商品企画・宣伝・美容研究・デザイン研究担当の取締役就任。2020年1月から現職