新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために、全社的にテレワークに取り組む企業が増えている。しかも今回はテレワークの中でも在宅勤務となるケースが多い。待ったなしでテレワーク導入に踏み切ったものの、これを機にテレワークという働き方を組織に根づかせるにはどうしたらよいか。テレワークに対するレベル感も違う各企業の現状を踏まえ、人事や経営層が考えるべき次の課題について、テレワークマネジメント代表取締役の田澤由利氏に聞いた。
(取材=原田かおり:日経BP 総合研究所 HR事業部 ヒューマンキャピタルOnline編集長、文=加納美紀)

テレワーク導入状況は企業によって大差

――今年夏の東京オリンピック・パラリンピック(以下オリパラ)開催をきっかけに本格化すると見られていたテレワークが続々と始まっています。以前から田澤さんが言われていた「テレワークを導入する壁」が一気に乗り越えられていますが、そのひずみも大きいように思います。テレワークを本格的に始めた時に出てくる課題とは何でしょうか?

田澤由利氏(以下、敬称略):「感染拡大リスクを減らすために、一人でも多くの社員を在宅勤務にして出勤日を減らす」という目的で、多くの企業で今すぐテレワークをやらなければいけない。なのに、各社のテレワークの導入状況には大きな差があります。

1)すでにテレワークが当たり前の働き方になっている企業
2)今年夏のオリパラに向けて導入しようとしている企業
3)会社として制度は作ったものの効果を出せていない企業
4)テレワークをやりたいと思っているが、踏み切れない企業
5)テレワークは無理、あるいは言葉そのものを知らない企業
の5段階に分けられます。

――それぞれのレベルで、状況や課題もかなり異なりますね。

田澤: 2)の企業はオリパラが行われる2週間~1カ月くらいの間、できる限りテレワークしようと準備してきたものの、まだ準備段階だったのでこれから課題が出てくるでしょう。3)は限定された職種だけ、週1、2日など制限を設けている企業。急に「全社員テレワーク」と言われて困っている状態です。4)5)の企業は「テレワークを始めたいけれど、何から手をつければよいのか」「うちの会社は無理だな、休業するしかない」と戸惑い、なかには諦めている企業もあるかもしれません。

新型コロナ対策で「テレワークを導入する壁」を越えた企業も、テレワーク業務を一時的なものではなく、当たり前の働き方にできるかどうかが問われる段階にきている(出所:株式会社テレワークマネジメント)
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