仕事を切り分ける従来型テレワークからチームでのテレワークへ

 「会社に出社する働き方が基本。ただし、社外でできる仕事はテレワークでも構わない」というのが従来からよくあるテレワークです。これは、仕事を切り分けることで実施できていました。ただし、これでは制度を作っても、テレワーク導入の効果を上げることはできません。「テレワークの効果を出す壁」を越えるには、チーム全員で、かつ長期のテレワークに取り組む必要があります。今回の事態を受けて日本企業全体がテレワークの定着を目指すか、それとも新型コロナ終息後に元の働き方に戻ってしまうのか、働き方改革そのものが岐路に立たされていると感じています。

――そのためにはトップの意識改革が不可欠ですね。

田澤:はい。すぐに、全員で取り組まなくてはならない現状を重要な機会ととらえ、「いずれ全員がテレワークできるように変える」方向を向くことで、その企業にとっても、社員にとっても大きな効果を出すことができるはずです。

 弊社では10年前から、「クラウド上にオフィスがあれば、どこからでも仕事ができる」というコンセプトで、企業のコンサルティングを実施してきました。仕事を切り分けるのではなく、クラウド上に仕事道具を置き、クラウド上でチームメンバーとコミュニケーションができるようにします。最初は10%しかテレワークができなかったとしても、ペーパーレス化を進めてクラウドに資料を置いたら20%、会議ができたら30%、接客ができれば40%、営業もできるようになれば50%と、どんどんテレワークでできることが増えていきます。

――4)や5)の状態にある企業こそ今がチャンスですね。

田澤:その通りです。テレワークを全くできていなかった企業が、今回、先入観を持たずにクラウド上に仮設のオフィスを作ることで、従来の切り分け型ではなく「クラウド上でいつもの仕事ができるようにしよう」という方向を見てほしいのです。2)3)の企業で「テレワークの効果を出す壁」の前で停滞している企業も、今ある制度を見直しながらこの考え方を持って実践してほしい。今回のことは、すべての企業でテレワークを当たり前にする機会にしてほしいと考えます。

株式会社テレワークマネジメント代表取締役 田澤由利氏
奈良県出身。上智大学卒業後シャープにてPC関連業務に従事したが、夫の転勤と出産で退職。在宅でのフリーライター経験を経て、1998年、夫の勤務先であった北海道北見市で「在宅でもしっかり働ける会社を作りたい」と株式会社ワイズスタッフを設立。全国各地に在住する120人のスタッフとチーム体制で業務を行っている。2008年に株式会社テレワークマネジメントを設立。企業などへのテレワーク導入支援や、国や自治体のテレワーク普及事業を広く実施する。内閣府政策コメンテーター、総務省地域情報化アドバイザー、地域IoT実装推進タスクフォース構成員などを務める。なお、今回の取材はWEB会議ツールを使って実施した(撮影:編集部)
(編集部作成)
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