縮小していく日本市場を背景に、日本企業ではグローバル人材がますます必要とされている。

 ところが、ヒューマンキャピタルOnline読者アンケート(2019年3月実施、n=198)で、組織と人材開発において「これから取り組んでいきたい最重要課題」(複数回答、3つまで)を質問したところ、回答のトップは「次世代リーダー育成」(回答者全体の47%)であり、「グローバル人材育成」(同6%)にとどまった。「キャリア開発・支援」「マネジメントスキル向上」(同30%)などと比べても数値は低い。

 この理由は何だろうか。これからの日本企業が必要とするグローバル人材とは何か、どうやって育成していくのか。筆者はこうした疑問を持って株式会社ウィル・シードを訪ねた。

 2000年に創業した同社は「挑戦・学習・成長を加速させる“場”をデザインする」をミッションに、先進的なグローバル人材育成に取り組んでいる。さらに2011年グローバル人材育成事業をスタートし、これまで800人以上の海外派遣者のサポートを行ってきた。

体験型プログラムで、自ら学び変化することを促したい

――ウィル・シードは公立学校の教育支援から始まった会社と聞きました。

藤森亜紀子氏(以下、敬称略):世界経済や社会の仕組みを学べる体験型のシミュレーションゲーム「いきいきゲーム」を公立学校に導入することからスタートしました。教室を一つの世界と見立て、いくつかのチーム(国)に分かれてシミュレーションゲームを行うものです。今は、体験型学習が盛んに取り入れられていますが、創業当時は、座学ではない体験型プログラムは非常にユニークでした。

 2002年には、経済産業省の「起業家促進事業」を受託し、全国95自治体の小~高校生、約550校5万人に「いきいきゲーム」を届けることができました。その後も、自治体や学校をはじめ、企業とのコラボレーションで3万人以上の児童・生徒へプログラムを提供しています。社会の仕組みというと難しいイメージがあるかもしれませんが、子供たちはゲームを通じて、「相手に気持ちよくお願いできないと断られてしまう。だから交渉が上手になりたい」、「社会は一人だけでは成り立たっていないんだな。みんなの得意・不得意が重なり合って一つのゴールにたどりつけるんだ」といった気づきを得ていきます。実際に自分が体験したことだから、「子供たちの心が動いた」のです。創業時から、本人たちの気づきを促す、本人たちの心を動かすことを商品開発のコンセプトにしています。

株式会社ウィル・シード GHRD事業部ゼネラルマネジャー 藤森亜紀子氏
ミネソタ大学教育行政政策研究科修士課程修了。2008年、同社に入社。グローバルHRD事業部の立ち上げ当初より商品開発を担当。海外トレーニー支援や、海外の第三者企業派遣を通じ、800名以上の海外業務研修生への研修やコーチング面談を企画・実施している。

 同様に企業研修でも、ビジネスシミュレーションを活用して、そのプロセスから組織で働くうえで大切なことを学ぶといった体験型プログラムはまだありませんでした。

 私は今、グローバル人材育成に取り組んでいます。そこでは、海外のリアルなビジネス現場を舞台に、どうすればその人がグローバルビジネスで自社の価値を高めることに貢献できるか、自らの意志を育んでいくことができるか、そこへのアプローチを考えながら商品開発をしています。