これまでにない新しい発想はどこから生まれるか。もしかしたら、都会で頭を抱えながら悩んでいるビジネスパーソンほど、自然豊かな南の島に行って頭をリセットするとよいかもしれない。近年は森林で過ごすことのリフレッシュ効果を明らかにした医学的な調査結果が示され、また「ワーケーション」も話題になっている。意思決定層への説得もしやすくなってきた。

 南の離島・沖永良部島(おきのえらぶじま)。奄美大島と沖縄本島のほぼ中間に位置するこの島は、人口は約1万4000人。平均気温22度の南国で、熱帯および亜熱帯の花が咲き乱れる。ここに2014年から居を移した東北大学名誉教授の石田秀輝氏は、食分野や観光開発など島民による様々な事業活動を支援している。

 石田氏はLIXILグループのCTO(最高技術責任者)を経て、2014年まで東北大学大学院に勤務。現在は星槎(せいさ)大学特任教授を務めるほか、様々な事業会社・団体の代表やボードメンバーを務めながら、「心豊かで持続的に発展できる暮らし」のための様々な活動を続けている。

 その一つが、大手企業や団体のメンバーを主な対象とした研修事業だ。最大の特徴は、数日間にわたるプログラムの大半を沖永良部島で行うこと。石田氏は、「本当にクリエーティブでイノベーティブな発想は、都心の灰色の研修部屋では生まれない」と語る。

 自然にあふれ、行き交う人々が見知らぬ旅人にも気軽に挨拶をしてくれる沖永良部島。「都会の人を呼ぶと、島民の温かさが逆に不審がられるほど」と石田氏は笑う。主な産業は農業で、主な生産品はさとうきび、花、じゃがいも。近年は観光にも力を入れており、天然の鍾乳洞を生かしたケイビングツアーが人気だという。

 そのような離島で、近未来に必要なイノベーションの何が生まれるのか。自身も「島に通うようになってから変わった」と語る石田氏に、自然豊かな島・沖永良部で起きる「思考の転換」の可能性について聞いた。

沖永良部島の海(写真提供:石田氏)