2つ目のリフレクションとは、自分自身の課題に向き合い、内省しながら自己変革に取り組む能力です。もう少し説明しますと、自分の仕事や人生に対する価値観やバイアス(認知の偏り)を自ら意識して、ビジョンに向かってより良い行動を選択する能力を指します。

 3つ目のアクションは、ビジョニングで打ち立てた事柄や、リフレクションした結果にひもづいた行動計画を立案し、実際に行動する能力のことを指します。

 ただ、VRAのような能力は「学べば伸びる」というタイプの能力ではありません。本人がVRAという能力の存在を知り、実務経験を通して自分のVRAの度合いを意識しはじめてようやく、VRAが伸びる可能性が出てきます。

 そこでVision Forestでは受講者にVRAを自然と意識化してもらうプログラムを設けています。その期間を6カ月とした場合、3回から5回のワークショップを実施します。ワークショップ内に「絵を描く」パートが数回、設けられています。

 受講者はプログラムの期間を通じて、仕事現場で実務に取り組みながらワークショップも経験します。これを通じて、自分はVRAを発揮できているのか、VRAを発揮することで自分の仕事やチームはどう変わるのかといった事柄について、実務体験を通じて発見していきます。

(写真提供:シグマクシス)

「絵を描く」が「自然に気づくこと」を促す

――プログラムでは「絵を描く」をどのように活用しているのでしょうか。

杉山:絵を描くことで、このVRAに関わる内的な気づきを促します。

 例えばワークショップの前半に絵を描くパートを設け、「自分の情熱の源泉とは?」といったようなテーマを提供し、それに基づいた絵を描いてもらいます。

 この絵を描くパートは、ホワイトシップというアートマネジメントを手がける企業に依頼しています。原型は同社が開発した「EGAKUプログラム」というアート体験プログラムで、1万5000人以上が受講しています。

 絵を描くパートは言語を使うフェーズと非言語を使うフェーズの2つに分かれています。

 言語を使うフェーズでは、絵の鑑賞をします。受講者がグループになって絵画作品を鑑賞し、見て感じたことを言葉で発表し合います。ビジネスパーソンは「正しい答え」を探しがちですが、ここでは正解を言う必要はありません。このような趣旨を受講者に説明したうえで、「自分はどう感じたか」という素直な感想を互いにシェアしてもらいます。

 言語のフェーズが終わると非言語のフェーズ、つまり絵を描くフェーズに入ります。ただ、いきなり絵を描けと言われても難しいので、こちらからガイドを示します。「自分の情熱の源泉」というテーマであれば、それぞれの受講者にそのテーマを掘り下げもらい、例えば「やりがい」「お客様の笑顔」といったキーワードを抽出してもらいます。主催者側では各種のキーワードと色を対応させたチャートを用意していまして、これを手がかりに絵を描いてもらいます。