「高度なデジタル人材が足りない」と言われて久しい。特にAI(人工知能)が話題になるなかで、AIを業務に活用する、いわば「AI活用人材」が圧倒的に足りないと指摘されている。去る2019年3月、人材不足を懸念した日本政府が、「AIを使いこなせる人材を年間25万人育成する」という大胆な戦略案を示した。実現性のある・なしも含めて議論が巻き起こったことを記憶している方も多いはずだ。

 そんななか、AI開発者やデータサイエンティストなど高度なデジタル人材を確保するために、標準的な給与よりもずっと高額な報酬を提示する企業が登場している。ディー・エヌ・エー(DeNA)やサイバーエージェントといったIT企業が、AI関連スキルを備えていれば新卒でも600万円前後から1000万円の年収を提示するとし、話題を呼んでいる。

 ただ、多くの経営者にとっては、「確かに、高い報酬を払えば優秀なデジタル人材を雇えるのだろうが、その報酬が適正なのかどうか、いま一つ分からない」というのが本音ではないだろうか。

 そんななか、デジタル人材と企業の適切なマッチングを行うために、一つのアイデアを提示している人物がいる。AIベンチャー・SIGNATE(シグネイト)を率いる齊藤秀氏(代表取締役社長)だ。

株式会社SIGNATE代表取締役社長CEO 齊藤 秀氏
幅広い業種のAI開発、データ分析、共同研究、コンサルテーション業務に従事。データサイエンティスト育成及び政府データ活用関連の委員に多数就任。博士(システム生命科学)。筑波大学人工知能科学センター客員教授、理化学研究所革新知能統合研究センター客員研究員、国立がん研究センター研究所客員研究員。(写真撮影:筆者)

 デジタル人材の不足に対する解決策としてSIGNATEが提示しているのは、国内唯一のAI開発コンペティション・サイトである「SIGNATE(社名と同じ)」だ。SIGNATEには約2万3000人のAI開発者が会員登録をしている。

 SINGNATEでは企業から経営課題を募集し、会員がその経営課題に対応するAIプログラムを開発。優れたプログラムは企業が買い取り、開発した会員には賞金という形で報酬を提供するという仕組みである。NTTやJR西日本などの大手企業や経済産業省などの官公庁、産業技術総合研究所などがSIGNATEを活用している。

 会員として登録しているAI開発者の多くは、企業に勤務している会社員、研究機関の研究者など。理工系の学生も登録している。なお先にも触れたDeNAは、自社員のSINGNATEでの活動成果を人事考課の一要素として取り入れているという。