新規中途採用よりも出戻り社員

 現状では、中途採用市場に出てくる転職者の中から、優秀な人財に出会うことも難しく、仮に出会ったとしても争奪戦になることは必至です。さらに自社の風土や仕事にマッチするかどうかは実際に就業してみなければ分かりません。過去に自社で就業していたことがあり、結婚・出産や配偶者の転勤でやむなく職場を離れた人を再度雇用する方がお互いにミスマッチのリスクを低減できます。こういった観点で、「カムバック制度」を作る会社は増えましたが、制度を作って満足しているケースが少なくありません。

 実態は、適切に求人募集を退職者に届けられていない、データベースもないため、退職者の現状がどうなっているのか分からないなど、制度をうまく回せていません。ある企業では、OB・OG専用のコミュニティを作って会社の情報を配信しつつ、復職意思を確認してターゲットに求人情報を送付しています。

 金融業界では特に女性の退職者が多く、「子育てが一段落した」「配偶者の転勤で退職せざるを得なかったが、再度の転勤で勤務可能地域に引っ越した」など、カムバック制度がはまるケースが少なくありません。過去に勤務経験がある方が再度就職すると、採用・教育コストは低減でき、ミスマッチが発生するリスクもほぼゼロになります。退職を機に完全にお別れをするのではなく、次に一緒に働くチャンスに向けた種まきを実施した成果といえます。

働き方改革の成功にもOB・OGの力を

 とあるアパレル企業の人事担当者から、働き方改革の第1弾として、「特に店舗勤務の社員について有給休暇の取得率を上げたい。そのために店舗勤務経験のあるOGの力を借りて、社員の有給休暇取得時に店舗スタッフとして入ってもらう仕組みを作れないか」というご相談をいただきました。

 直近の働き方改革の流れを受けて、労働環境改善や長時間労働の是正、有給休暇の取得率向上が各社の課題であり、同じような課題を抱える企業で現役社員の有給休暇取得時に勤務経験のあるOB・OGにサポートに入ってもらうという運用が複数の企業で始まっています。これも働き方改革の推進が生み出した事例であるといえます。

 まだ駆け出しの施策ではありますが、うまくいけば、現役社員の負担は軽減され、職場環境のよさが現役社員、OB・OGから周囲に拡散され、優秀な人財を採用できるというポジティブなスパイラルを作り出すこともできるでしょう。

時代の変化にうまく対応し、課題を解決

 働き方改革は政府の肝入りの施策であり、この流れを止めることはできません。働き手の価値観の変化もますます加速することでしょう。当然、「退職」に対する考え方も変化し、OB・OGの力を人事施策に、そして経営に取り入れていくことも重要な論点だろうと思います。時代の変化に取り残され、不利益を被るのか、うまく変化を活用し、自社の課題を打破するのかは、今、この変化の入り口での各企業の対応にかかっています。

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佐原 資寛(さはら もとひろ) EDGE株式会社 代表取締役社長
チーフエヴァンジェリスト
佐原 資寛

2008年横浜国立大学工学部在学中より、社内コミュニケーションプラットフォーム「エアリー」事業へ参画し、企業のダイバーシティ推進を支援するサービス「エアリーダイバーシティ」の立ち上げに従事。その後、マネージャーを経て2014年より事業部長を務める。
国内最大のテーマパークをはじめ、社内SNSを活用した従業員満足度向上をコンサルティング。新卒採用、新人育成、研修フォロー、従業員満足度向上、離職率低減、女性活躍推進、OB/OGのカムバックなど、各人事課題に対するソリューションとしての社内コミュニケーションプラットフォームの導入・支援実績は100社を超える。 2017年4月よりEDGE株式会社にて代表取締役社長を務め、“働き方改革”に関する講演実績多数。

●EDGE株式会社 オフィシャルサイト
http://www.edge-inc.co.jp/
●女性活躍推進のためのSNS「エアリーダイバーシティ」
https://diversity.airy.net/
●従業員満足度が劇的に向上する社内SNS「エアリー」
https://airy.net/
●内定者フォロー・新入社員研修SNS「エアリーフレッシャーズ」
https://fresher.jp/

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。