1967年に創業し、2017年に50周年を迎えた日本ゼネラルフード。中部地区を地盤とし、企業での食堂運営や学校給食、介護食の提供からケータリングサービスまで、幅広く給食ビジネスを展開している。フードサービス業界における人手不足の対策として同社が注力するのが、人材育成だ。「人材のレベルアップ」と「定着対策」を目的として、非常にユニークな研修を実施している。今回から3回にわたり、日本ゼネラルフードの研修を紹介する。

 日本ゼネラルフードには特徴的な2つの研修がある。1つは「一流の社員になるために」研修。もう1つが同社副社長である一泉知由氏の名を冠した「一泉ゼミナール」であり、どちらも一泉氏が中心となって進めている。

「全員、社長になれなくても、一流社員にはなれる」

 「一流の社員になるために」研修を一泉氏が始めたきっかけは、20年近く前にさかのぼる。1975年に明治大学を卒業し、東京海上火災保険(現:東京海上日動火災保険)に入社した一泉氏は、33年間にわたり営業畑一筋、ビジネスパーソンとしての経験を積んできた。

一泉知由氏
日本ゼネラルフード代表取締役副社長 一泉知由氏(撮影:山田愼二)

 一泉氏と同期入社の社員は、全員大学卒。入社10年目になると、課長代理への昇進という最初の関門がある。その後は課長、次長、そして部長・支店長のポストを獲得するのは同期の約3割、さらに理事・執行役員・取締役になれるのは約1割。社員たちは好むと好まざるとにかかわらず、長い時間をかけて競争にさらされ続ける現実がある。

 そのような環境のなかで、「選ばれなかった」社員のモチベーションをいかに維持、向上させるか。よい職場環境を作りながら業績を向上させるためには、どのような組織運営をすればよいか……。考え続けた一泉氏は、こう思い立った。「どんなに頑張っても、しょせん全員社長にはなれない。しかし、たとえ社内で重職につけなくても、事情を知らない社外のお客様から『さすが東京海上の社員!』と言われる社員には、全員がなれる」。社外から評価される「一流の社員」というキーワードが有効である、ということに気づき、「一流の社員になるために」の研修をスタートさせた。

 一泉氏の転機は56歳で訪れた。東京海上の最後の役職である理事/名古屋自動車営業部長をもって役職定年を迎えた際、当時、日本ゼネラルフードの副社長であった西脇司氏(現社長)に乞われ、専務として同社に入社することになったのだ。2008年7月のことである。一泉氏と西脇氏は明治大学付属明治高校時代の同級生で、一時は席も隣であった。「西脇から強烈なラブコールを受け、悩んだ結果、『日本ゼネラルフードを日本一の会社にする』と転職を決意しました」と一泉氏。この時既に東京に家族を残し単身赴任で7年がたっていたが、日本ゼネラルフードに入社することで、さらに単身生活を続ける覚悟を決めたのである。

 入社後すぐに一泉氏が西脇社長に提案したのは、社員研修の開催である。「東京海上時代の経験から、この会社を日本一の会社にするために一流の社員を育成する研修をやりたいと思っていました」。早速入社7日目に「日本ゼネラルフードバージョンの一流の社員になるために」を作成して西脇社長にプレゼンし、了解を得た。こうして一泉氏の入社わずか3カ月後の2008年9月、第1回の「一流の社員になるために」研修を開催した。まさに、リーマンショックで日本経済が大混乱に陥った時期のことである。