フードサービス業界における人手不足が憂慮される中、社内の人材育成に力を入れる日本ゼネラルフード(名古屋市)。本連載の第1回第2回で、同社のユニークな2つの研修――「一流の社員になるために」と代表取締役副社長の一泉知由氏の名を冠した「一泉ゼミナール」――を紹介してきた。実に10年間継続しているこれらの研修によって、日本ゼネラルフードの社員はどう変わったか。また、人材育成に懸ける一泉氏のエネルギーの源はどこにあるのか。

 日本ゼネラルフード本社の社員を対象に、一泉知由副社長が“社員としてあるべき姿”を伝授する「一流社員になるために」研修。また経済、社会の主要ニュースや旬の話題を部長やマネジャー向けに講義する「一泉ゼミナール(一泉ゼミ)」。いずれの研修でも、2時間を超える一泉氏の講話に、社員たちは熱心に耳を傾ける。

「一泉ゼミ」で講演する、日本ゼネラルフード代表取締役副社長の一泉知由氏(撮影:山田愼二)

研修により教育と考課を連動させる

 総務部係長の不殿彩加さんは、2011年9月に初めて「一流の社員になるために」研修を受講した。入社後、三重大学附属病院に管理栄養士として1年3カ月勤め、本社の研修部門に異動して3カ月後のことである。「本社でこんなにすごい研修が行われているとは知らず、本当に驚きました」と当時を振り返る。

 「初めは一流の社員と言われても実感がわかなかったのですが、受講の回数を重ねるごとに、研修で教わった『気づく力』『考える力』『目的実現力』を、自分の仕事に置き換えて考えられるようになりました」と不殿さんは語る。

 一方で2014年に入社し、一泉氏の秘書兼ゼミ長として「一泉ゼミナール」の資料作成を手伝うようになった同社総務部主任の川瀨佑里さんは、「初めの頃は情報量の多さに圧倒され、聞くだけで精一杯で、ゼミの内容を咀嚼しきれていませんでした」と語る。「毎月、ゼミの資料を作るために、副社長が寸暇を惜しんで新聞、経済紙を読破する姿に驚きました。また、私をはじめとしたゼミ事務局の若手社員は、副社長が集めた資料を読み込み、記事を選定して皆に配布するテキストを作ることで、相当鍛えられています」と川瀨さん。

 どちらの研修も、受講後の感想文が課されている。「特に『一流の社員になるために』研修は、内容が毎回ほとんど同じでも、毎回感想文に書く内容が変わってくるのです」と不殿さん。「感想文の内容が毎回変わってくることが、その人の成長の証なのです」と一泉氏は語る。また「社会人になってから、ビジネス文書を作成することはあっても、自分の考えを文章にする機会が減りましたが、この感想文により、考える力と書く力がレベルアップしたと自分でも思います」と川瀨さん。

 一泉氏は常日頃から「人材育成は『掃除』『手作り』『感想文』」と口にしている。だから、研修を通じて、感想文を10年間実践し続けているのだ。感想文を書き続ける社員も大変だが、全部読みとおす一泉氏のエネルギーも並大抵ではない。さらに、社員との面談の際には感想文に対するコメントもする。まさに教育と考課を連動させていると言える。