新型コロナウイルスの感染拡大を受け、急激に進むテレワーク化。業務の「見える化」やキャリア自律加速などの効果が期待される一方で、長時間の在宅勤務によるコミュニケーション不足とそこから生じるストレス、マネジメントの難しさなどの課題が浮上してきた。出社を余儀なくされている社員と在宅勤務社員との待遇差も問題になる。これらの課題への施策が必要になるとともに、今後は働き方だけでなく組織のありようも変わっていくだろう。

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 テレワークが進むなかで顕在化している課題の一つが、様々な理由で在宅勤務ができず、出社せざるを得ない社員がいることだ。中には、環境を整備することで在宅が可能になるケースもある。例えばテルモには、視覚障がいがあり画面を大きく表示する専用コンピューターを使っている社員がいる。「こうした場合は自宅に機材を貸し出すといった対応を積極的に進めている」と語るのは、同社取締役上席執行役員/CHROの西川恭氏だ。

 しかし一方で「不具合品の確認で病院に行かざるを得ない営業担当者、在宅医療に従事する担当者など現場医療に関わる人もおり、リスクを回避しながらも業務に当たらなければいけない難しさがある」(西川氏)。

 ライフネット生命保険では、「電話での顧客応対、保険金・給付金の支払い査定など個人情報を扱う業務は在宅では難しく、この業務に当たる社員には出社要請をしている」(同社取締役副社長 CHROの西田政之氏)。こうした場合、オフィスでは間隔を空けて仕事する、部門内でフロアを分散する、シフト制を組むなどウイルス感染を防ぐ工夫をしているという。

 在宅勤務をする社員と出社を余儀なくされる社員がいるなか、西田氏が強調するのは「両者への公平性を担保すること」だ。同社ではテレワーク環境の整備や感染予防のため、全社員に「感染拡大防止協力金」とする一時金を支給したうえで、出社要請している社員には特別出社手当を付与した。この際「週に何日出社するか、シフトをどう組むかによって社員ごとに勤務時間はまちまち。特別手当算定に当たり、こうした勤怠管理を別途細かく行う必要がある」(西田氏)。

社員主導でテレワークの課題を解決

 テレワークの課題としてさらに指摘されているのが、互いの顔が見えないことによるコミュニケーション不足、自宅で一人で仕事を続けることによるストレス、運動不足などだ。

 コミュニケーション不足を補う策として、カゴメでは「通常のテレビ会議のほかに『Teams(マイクロソフトのコラボレーションツール)で本部長と語る会』『Teams飲み会』などを開催している。社員が自主的に実施しているものも多く、好評だ」(カゴメ常務執行役員CHOの有沢正人氏)。ちょっとした会話や雑談をする機会を、社員主導で行っていることがポイントになる。

 一人で黙々と仕事をすることによるストレスや運動不足対策について、社員が自主的な工夫を進めているのはライフネット生命保険だ。「アスリート社員が自身の考案した室内体操の動画を社内SNSで配信し、社員に運動の習慣化を促している」(西田氏)。