「VUCA(変動、不確実、複雑、曖昧)の時代」と言われて久しいが、今回のコロナ危機はまさに予測不可能な事態の連続だったといえよう。半年前には予想もできなかった非常事態に遭遇した際、最高人事責任者であるCHO/CHROに求められる心構え、行動とはどのようなものか。また今後「ニューノーマル(新常態)」に向け、人事担当者はどんな準備を進めていくべきか。

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 有事の際CHO/CHROには、変化に対する強さがこれまで以上に求められる、と指摘するのはテルモ取締役上席執行役員/CHROの西川恭氏だ。

 「今回は予想外のことが次々に起きた。2週間後の社会状況が、現在と全く異なる可能性もある。その際に必要なのは、リーダーとして腹をくくること。議論を重ね、ためらわずに施策を進める勇気を持つべきだ」と西川氏は語る。同社では、2月にいち早く在宅勤務の利用回数上限を撤廃した。「通常は制度改訂に時間を要するが、この状況ではすぐに変更することが社員や社会のためになると判断した」(西川氏)。

 さらに西川氏は「施策を打つ際に、慎重になりすぎないことが重要」と強調する。「状況は日々刻々と変わる。問題点を一つひとつチェックしてからの実施では、間に合わない場合もある。『今このような発言をしたら、後に状況が変わった時に批判されるのではないか』などと恐れないことだ。その時点で正しいと判断したことは即座に実行し、状況が変われば惰性で続けずにすぐやめる。このサイクルを回さないと業務量が増加し社内が疲弊する」(西川氏)。

 迅速なアクションも必要だ。ライフネット生命保険取締役副社長CHROの西田政之氏は、「とにかく後手に回らないことが大事」と語る。「結果的に無駄になったとしても、先手を打って行動することが求められる。そのためには経営陣の情報共有をしっかり行い、施策を進める際の判断基準を決めるべき」(西田氏)。

 また西田氏は、思い切った打ち手の重要性を説く。「やりすぎたと感じたら、後で修正すればよい。素早い判断と行動が、社員の安心感と信頼につながる」(西田氏)。