2017年、「トマトの会社から、野菜の会社への変革」を発表したカゴメ。人材の自律的成長を促進するため、タレントマネジメントシステムやHRBPを次々に導入し、大胆な組織改革を推進している。今回はカゴメ初のCHOとなった、常務執行役員 CHO である有沢正人氏に話を聞いた。

――まずCHOの役割について、お考えをお聞かせください。「CEOの相談相手」「イノベーションの先導役」「企業文化の担い手」と指摘なさっています。

有沢正人(以下、有沢):そうですね。中でも最も大事なのは、CHOはCEOのよきアドバイザーで、最後の砦だという点です。人事というフィールドだけではなく、CEOの相談相手・コンサルタントであり、エグゼクティブコーチの役割を果たすのが私のイメージするCHOで、自身もそれを心がけています。ちなみにカゴメには、「CxO」という役職がCHOのほかにはないんです。私のCHOの辞令を見て、周囲の人に「『チョー』って何ですか?」と言われたこともあるくらいで。

 ポイントは、人事戦略が経営戦略の中で最重要であるという認識を経営トップに持ってもらい、それを社内外に示していくことです。その意味でCHOとはシンボリックなものですね。人事とは、以前のようなオペレーション中心ではなく、企画戦略を重視しキャリアコンサルティング的な仕事をしつつ、会社の戦略をすべてリードしていくイメージです。

カゴメ 常務執行役員 CHO 有沢正人氏
1984年に協和銀行(現りそな銀行)入行、HOYA、AIU保険を経て、2012年1月カゴメに特別顧問として入社。2012年10月より現職。(撮影:菊池くらげ)

――カゴメは人材マネジメントを積極的に行っています。具体的な施策を教えてください。

有沢:個人のキャリア自律を推進し、それと会社のニーズをマッチングさせるために、システムサポートが必要になります。そこで2019年4月、タレントマネジメントシステムを導入しました。導入の目的は、会社の視点では、人材情報に基づいた配置の促進、適材適所の配置の実現、抜擢人事の推進です。個人の視点では、自己申告(異動希望)内容の反映強化、自律的なキャリア形成支援、成長目標の可視化による自己研鑽促進が目的です。

 タレントマネジメントの最重要課題は、人材配置です。長期的キャリアを従業員自身に考えてもらい、適材適所の配置をします。そのためには、「本人の異動希望」「長期キャリアプランの設計と能力開発」「定量的な人物評価」「定性的な人材情報」「人物基本情報」の5つの情報が必要です。散在している人物情報を一元管理して見える化し、最終的に配置、処遇、評価を決められる設計にしました。

 異動希望やキャリアプランは、本人に入力してもらいます。能力開発の観点からは過去のキャリアが大事で、職務や仕事の成果を未来に生かすわけですね。自己申告による異動の希望は、かなりの確率で叶えています。また人物評価には、客観性を持たせるようにしています。

 ポイントは、これらの情報をクラウド上で誰でもどこでも見られるように開示していることです。どんな仕事があり、そのために必要な人材要件(必要なスキルや経験など)は何かを明示するのは会社の義務で、それを見て本人に自律的なキャリア形成を目指してほしいわけです。