新入社員に年収1000万円超――。今やIT/AI人材の確保はIT業界にとって喫緊の課題だ。NECでも近く、若手研究者を対象とした新報酬制度を導入する。これに先立ち同社は人事戦略も大きく変革してきた。成長戦略のための改革を推進する、NEC取締役執行役員常務兼CHROの松倉肇氏に話を聞いた。

――マーケティング、事業開発、経営企画と様々な分野をご経験の後、CHROに就任なさいました。今、人材戦略をどのようにお考えですか。

松倉 肇(以下、松倉):2020中期経営計画を作る際、新野隆社長と「変革を進めるキーは、文化改革と人事改革だ」という話になり、私が人事を担当することになりました。これまで経営や事業の側から会社を見てきましたが、NECが人事戦略を大きく切り替えるタイミングで、自分のように人事経験があまり長くない者が担当することにこそ意味があると感じています。CHROの役割は、経営を語りながら人事を考えることです。ともすると事業戦略と人事戦略を別々に進めがちでしたが、今後は両者をつなげていくのが私の仕事だと感じています。

 今、私たちには、NECがグローバルに成長して勝ち続けるためにはどうあるべきかを第一次的に考えることが求められています。これまで人事のミッションは主として何かが起きた時に対応することであり、「勝ち続ける」と主体的に考えたことはありませんでした。しかしNECが大きく変わっていくなかで、人事部門も大きなモードチェンジが必要です。人事が変革のドライバーにならないと、会社を大きく変えられないと感じています。

NEC 取締役執行役員常務兼CHRO 松倉 肇氏
1985年にNEC入社。マーケティング企画本部長、事業開発本部長代理、経営企画本部長を経て、2014年に執行役員兼NECマネジメントパートナー代表取締役執行役員社長に就任。その後執行役員常務兼CSO(チーフストラテジーオフィサー)、取締役執行役員常務兼CSO兼CHROなどを経て、2019年4月より現職。(撮影:菊池くらげ)

松倉:人事部門だけでなく、社員も変わる必要があります。私は、社員皆が自律的に生き生きと仕事をすることが個人の成長になり、それが会社の成長に結びつくと考えています。まずは、社員がプロフェッショナルとして成長しないと会社としてのパフォーマンスが上がりません。

 会社がルールを決め、仕組みを整えて社員に仕事を与えてやらせるというやり方では、職場は盛り上がりません。社員が自らのキャリアを考え、学びながら仕事をする方が面白いでしょうし、クリエーティブなことができると思います。細かいルールで縛るのではなく、自律した社員を信頼し自由に動き回れるような環境を整えるのも、人事部門の大きな仕事だと感じています。