働き方改革は、インフラ整備と意識改革を両輪で

――会社を変革するための具体的な施策と成果をお教えください。

松倉:社員の力を最大限に引き出す変革プロジェクトとして、2018年に「Project RISE」をスタートさせました。働き方改革、コミュニケーション改革をベースとし、評価や人事改革、そして企業文化のレイヤーで経営改革を実現するというものです。

 自律した人材がよりアクティブに仕事をするには、働き方改革が重要です。ただ働き方改革は残業時間の削減を入り口にしてしまったところがあったので、基本を見直し「社員一人ひとりがいきいきと働くこと」を目的にしました。このためにまず進めたのが、オフィス改革です。フリーアドレスを導入し、通常フロア以外に「BASE」というコワーキングスペースも設置しました。必要な社員全員にノートPCとスマホを支給し、テレワーク、コアタイムなしフレックスも導入するなどインフラ整備を進めています。

 また、ハードが整ってもマインドチェンジをしないと会社は変わりません。そこで並行して取り組んだのが意識改革です。3カ月に一度、「パルスサーベイ」を始めました。「スマートワークが実現できているか」「上長とコミュニケーションは取れているか」などのアンケートを社員全員に行います。インフラ整備や施策を打ったあとでサーベイを行うことを繰り返し、その結果を事業部ごとにイントラネットで公開しています。

――ここまで徹底的にサーベイを行っている例は、なかなかないですね。

松倉:変革を進める時には、皆に同じ情報を提供すべきだと考えています。社員の声を徹底して聞き、実際に施策を実行した成果についても皆に公開して共有します。各部門長にはこの半年で自分がやるべきことを宣言してもらったのですが、上長が本当にコミットしている部門は、サーベイの結果が目に見えて改善しました。

 もう一つ注力しているのが、評価改革です。人事と企業文化の改革を推進するため、2018年にカルチャー変革本部を新設しました。GEや日本マイクロソフトで人事を担当し、企業文化を変えてきた経験のある佐藤千佳を本部長として10人ほどのチームを作り、評価報酬制度をがらりと変えました。まずは経営陣に成果主義を導入したのです。

 会社を変えるには、トップから変わっていかないと社員に信頼してもらえません。そこで社長が「まず、自分が変わる」と明言しました。アサインメントは、ポジションを定義してベストな人材を当てはめる「適所適材」の考え方に変更しました。報酬体系や評価の仕方を変え、役員のアサインメントをもう一度やり直す形で、経営層の改革を行ってきたのです。

――「Project RISE」始動にあたり、5つの行動基準も作りました。

松倉:変革を進める際の物差しとするため、カルチャー変革本部を中心にCode of Valuesという行動基準を作りました。「視線は外向き、未来を見通すように」「思考はシンプル、戦略を示せるように」「心は情熱的、自らやり遂げるように」「行動はスピード、チャンスを逃さぬように」「組織はオープン、全員が成長できるように」という5つです。

 各項目は行動を促すような文章になっています。これまでの当社のイメージと違いますよね。最初にこの表現を見た時には、NECらしくないなと思いましたが、次第にこのような発想が大事なのだと思うようになりました。これも、佐藤のように外部からの人材をリーダーにして進めた結果です。こうした「外の風」をNEC社内に入れていくのも、人事部門として大事な仕事だと思います。