――もう一つの改革とは何でしょうか。

島田:経団連がこの春、通年採用拡大を発表しましたが、当社は早くから通年採用を意識していました。そもそも「集団で一斉に就職するのはおかしい」と思っていましたから。2017年に、新卒採用において365日24時間、世界中どこからでも応募できる「UFLP365」という制度を導入しました。これは「いつでも採用してあげます」という企業目線の施策ではなく、「(学生の皆さんが)いつでも自分の人生や未来について考えられるように」という当社からのメッセージなのです。

 2016年には、選考段階の2プロセスでAIを導入しました。1次選考はpymetrics社、2次選考はHireVue社のプラットフォームを利用しています。まず学生さんがユニリーバに登録すると、pymetricsのゲームに挑戦していただきます。12種類のゲームが用意されていて、ユニリーバで成功する社員に近い考え方や傾向かを見ることができます。ゲーム選考を通過したら、デジタル面接を受けていただきます。HireVueのプラットフォーム上で面接官からの質問がビデオで流れ、それに対する回答を3分間で録画して送っていただき、AIで分析します。

 AIを導入して、人事担当者の工数は激減しました。それまでは数千枚にわたる学生さんのエントリーシートを担当者が手作業でチェックしていましたが、この手間がなくなったのです。また最初は「AIできちんと選考できるのか」という疑問もありましたが、ゲーム選考とデジタル面接はかなり精度が高いことが分かりました。こうした採用方法で、ユニリーバという企業に対する学生の皆さんからの関心度が高まり、当社としても「一緒に働きたい」と思えるような方との出会いが増えました。

学生と企業が互いをよく理解する採用プロセス

――AIによる選考を経て、リアルな面談もあるのですね。

島田:ゲーム選考、デジタル面接を通過した方は当社で初めて対面での面接を受けていただきます。「ディスカバリーセンター」と呼んでいますが、6人1組で、朝から夕方まで1日かけてグループディスカッションや課題解決などに挑戦してもらいます。ディスカバリーセンターは、私たちが学生の皆さんのことをよく知ると同時に、皆さんにも自分のことを発見し、ユニリーバについても深く知っていただくためのものです。

 ディスカバリーセンターが終わると、全員にフィードバックします。この1日の体験は、学生の皆さんにとって合否にかかわらずとても楽しみにしていただいています。学生の皆さんに、「ユニリーバに触れたら人生が変わった」「考え方が変わった」というきっかけにしてもらいたい、というのが採用に対する私の考えです。「優秀な人材を採る」というよりも、学生の皆さんが「ユニリーバで働きたい」、そして私たちも「この人と一緒に働きたい」とお互いに思えるようになればうれしいですね。