――一段落した採用に関して、強化している施策があれば教えてください。

木下:2019年2月に「CX(Candidate Experience:求職者の体験)向上の取り組み」を始めました。採用や選考のプロセスを通じて、当社を受けてくれた人にメルカリのファンになってもらう取り組みです。このために面接官向けのオリジナル研修プログラムを作りました。面接のロールプレイングなどですね。ポジティブな候補者体験を作るためには、面接官にもスキルが必要になります。

 面接や選考のあとで、求職者に採用プロセスに関するアンケート調査も行っています。最近このスコアが確実に上がってきています。

 また「mercan (メルカン)」というオウンドメディアで、社外に向けて情報発信しています。例えば現場のメンバーが今チャレンジしている仕事について赤裸々に語るコンテンツを毎日更新したりして、読んで頂いた皆さんにはメルカリで働くイメージを明確に持っていただけるよう力を入れています。

――こういった試みは、リテンションにも役立つと思います。

木下:そうですね。選考プロセスにおいて、お互いに適切に期待値を調整することで、入社後のギャップを減らすことができると考えています。またオンボーディング体験の向上にも力を入れており、入社オリエンテーションでは経営陣が事業の課題をオープンに語り、新入社員への期待値を明確に伝えています。

分析ツールを活用した組織の健康診断

――人材マネジメントに関して、導入しているHRテックはありますか。

木下:当社は四半期ごとに評価サイクルを回していますが、この仕組みは内製で開発した「Reviews」というシステムを活用しています。期初に各自がOKR(Objectives and Key Results)で目標を定め、3カ月後に目標への貢献度やバリューの体現度、3つのバリューに関して発揮できた強みなどを確認します。まず本人がセルフアセスメントし、マネジャーがそれに対する評価をフィードバックするのですが、この評価サイクルを3カ月ごとに熱量高くやっています。

 評価の際に工夫しているのは、マネジャーとメンバーの1対1の関係性だけではなくて、peer review(ピア・レビュー)として、一緒に仕事をしているメンバーからのインプットも取れるようにしています。例えば「○○さんは今期、こういう点が良かったが、改善すべきなのはこの部分です」といったことをお互いにアドバイスし合う。自分が周囲のメンバーからどう見られているのかよく分かりますし、他部署とどう連携しているかしっかりチェックできるようになっています。

 また当社では「メルチップ」と呼んでいますが、仕事で良かった点についてお互いに報酬を送り合うpeer bonus(ピア・ボーナス)のシステムもあります。良い行動を賞賛し合うということが、社内に習慣として根付いていると思います。

 また昨年よりEX (Employee Experience: 従業員体験)向上の取り組みを始めており、その一歩としてクアルトリクスを使ったサーベイと分析を行っています。組織診断サーベイ、オンボーディングサーベイなど社内の様々なサーベイを一元化し、エンプロイージャーニーマップにおいてどこに改善余地があるか、相関性があるかを分析しています。